ドン★キホーテ第六話

日本テレビ系。土曜ドラマドン★キホーテ」第六話。
鯖島組の兵頭大介(松重豊)は意外にも何でも俳句で表現できる特技の持ち主であると判明した。しかし俳句を作るためには筆と硯の墨と短冊が不可欠。パソコンに向かっても何の一句も浮かびはしない。なかなか徹底した文雅の心と形容できる。
今宵も面白く盛り上がった中で、白眉と云うべき場面を挙げるなら、京浜児童相談所長の水盛ミネコ(小林聡美)に対する松浦幸子(成海璃子)の和解の場を挙げるしかない。松浦幸子が初めて本心から感謝を伝えたときには沈黙のままだった水盛ミネコは、今後とも色々負担をかけるかもしれないことを告げられたときには、一言だけ、何時ものように能天気に返答した。茶を淹れる準備をしながら振り返ることもなく背を向けたままの、暫しの沈黙ののちの、普段通りの一言は、劇中の人物にも、それを見ている視聴者にも、緊張と想像をかきたて得る。余白の美と形容してよいだろう。
ところで。
戦時の人々はどうして無謀な戦争の不条理を疑おうともしなかったのか、理解し難い…と感じる人々は少なくないかもしれないが、それを理解するには、現今話題の某国ブーム騒動を想起するのが一番の近道ではないだろうか。誰も望んでいなかったし関心もなかったのに、なぜか、いつのまにかブームが発生して、日々その翼賛どころか扇動に接していて、その不条理に異を唱えようものなら徹底的に弾圧されるという恐怖。