仮面ライダーフォーゼ第二話

東映仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第二話「宇・宙・上・等」。
この仮面ライダー物語が天ノ川学園を舞台にした学園ドラマとして作られていることを考えるなら、フォーゼに変身して学園内の化け物を退治する主人公の如月弦太朗(福士蒼汰)と、フォーゼに変身するためのベルトを彼に譲り、指令を出して彼を操る役割を担う歌星賢吾(高橋龍輝)との間を取り持つのが如月弦太朗の幼馴染の少女である城島ユウキ(清水富美加)であるのは効果的な設定だと思える。平成期の仮面ライダー物語では戦場における男子同士の愛と信頼が物語の核をなすことが多かったが、それを学園ドラマでやってしまうと意味が違って見えてしまうかもしれないから。なぜなら学園は本来、戦場ではないからだ。
如月弦太朗が転校してきた天ノ川学園には幼馴染の城島ユウキが既に在校していて、歌星賢吾の理解者であり協力者でもあるこの城島ユウキが、歌星賢吾を最も力強く助けることのできる仲間になり得るのは如月弦太朗であると見込んで両名を結び付けるという展開にした結果、なるほど、男子同士の愛と信頼のドラマを学園ドラマの枠内でも違和感なく自然に始動させることができたと見える。
さて、先週の第一話から今週の第二話にかけて学園内に騒動を起こした化け物の正体はアメリカンフットボール部員の三浦俊也(水野真典)だった。主将の大文字隼(冨森ジャスティン)の側近の部下であるかのようにも見えていたが、三浦俊也に云わせれば実はゴミ同然にしか扱われていなかった。部員であるにもかかわらずボールにも触らせてもらえず、大切な試合のときにも会場へ観戦に行くことさえ許されず部室の掃除をしておくように命じられる程で、彼は内心そのことを恨んでいた。
集団に属する人々は、その集団の外にいる者の眼には全員が同じであるかのように見える場合があるが、実際には人々は皆それぞれ違った思いを抱えていて、集団の内にも意外な対立が潜んでいる場合があるのだ。
如月弦太朗は三浦俊也に対し、大文字隼への恨みはアメリカンフットボールの実力で晴らせ!と叫んだ。その通りだろう。恨みを晴らすために化け物になるのが正しい選択であるとは思えない。だが、如月弦太朗が「このバカを見返せ」と叫んで「このバカ」という語で大文字隼を指示したように、大文字隼が恨まれて当然であるような人物であるのも間違いない。先週の第一話では如月弦太朗自身も大文字隼の指示を受けた集団によって酷い暴力を受けたのだ。如月弦太朗が大文字隼と「友達」になるまでには大文字隼を改心させる必要がありそうだが、反面、三浦俊也も、化け物から解放された今、決して敵ではなく、友達になれないはずはない。