水曜ドラマ家政婦のミタ第十話

水曜ドラマ「家政婦のミタ」。第十話。
家政婦の三田灯(松嶋菜々子)が阿須田家の人々に対して度々発してきた「それはあなたたちが決めることです」という語が、今回、極めて劇的な仕方で変容した。これまでは冷たく突き放すための語として発せられてきたが、今回はむしろ温かく包容するための語として発せられたからだ。これによって阿須田家の四兄弟の阿須田結(忽那汐里)も阿須田翔(中川大志)も阿須田海斗(綾部守人)も阿須田希衣(本田望結)も、母に死なれて捨てられたことの苦悩から一気に解放された。
阿須田恵一(長谷川博己)にとっては亡き妻の妹である結城うらら(相武紗季)は、義兄への密かな想いを断ち切るべく、本心では望んでもいない見合いをした。阿須田恵一は、まさか義理の妹が己に恋をしていようとは思いも寄らないまま、単に、義理の妹が好きでもない相手と急に慌ただしく結婚しようとしている事実のみを耳にして驚き、そのような無気力な結婚をしたところで幸福にはなれないのではないかという素直な思いやりから、結城うららに対し、思いとどまるように告げた。結城うららの欠点までも受け入れることを決めていた見合いの相手(勝地涼)にとっては立場のない話ではあるが、望まない結婚をすることは相手に対して失礼ではないかという阿須田恵一の主張には首肯できる。