新番組=土曜ドラマ理想の息子第一話

今宵からの新番組。
土曜ドラマ「理想の息子」。第一話。
どんなに明るい喜劇を装っていても端々から感じられる不気味な趣と狂気と扇動性。なぜならこのドラマの脚本を手掛けるのは野島伸司であるから。山田涼介にしても中島裕翔にしても武田航平にしても、所謂「野島ドラマ」には全く縁がなさそうであるはずだった人たちばかり集めてそれをやっていることの違和感が意外によいのかもしれない。どこまで付き合い切れるのかは判らない。
舞台は海王工業高等学校。貧しい家庭に生まれ育って「極悪」に成長した不良少年ばかりを集めたような男子高等学校。
鈴木大地山田涼介)は不良ではなく極めて学業に秀でた優等生で、しかも少し前までは私立の名門の進学校に通っていたが、母一人子一人の家庭に生まれ育ち生活にも余裕がない中、母の鈴木海(鈴木京香)が海王工業高等学校の食堂で働き始めると知って心配し、同時に、自身の通う進学校が授業料にしても修学旅行費にしても何に付けても大金を要するので母の経済的な負担が極めて重いことをも心配して、ついにそこを退学して海王工業高等学校に編入学するに至った。親孝行の「マザコン」男子。
海王工業高等学校鈴木大地の最初の友になったのは小林浩司(中島裕翔)。もちろん不良ではない。しかも実は大富豪の子。大手の建設会社の創業者の女系の孫で、母の小林光子(鈴木杏樹)がその企業集団の現在の事実上の総帥。小林浩司を敢えて海王工業高等学校のような柄の悪い学校へ通わせているのは小林光子の考えによるもので、建設会社の経営者は不良集団をも威圧する程の人物でなければならないというのがその考え。建設会社の雄としては失格であると判定されてしまったその夫は婿養子で、現在は大手の弁当屋を営んでいるが、少し前までそこで働いていた鈴木海とは一寸した縁があったことから、鈴木大地と小林光子との間にも一寸した縁ができていた。海王工業高等学校において鈴木大地と小林浩司が、不良の巣窟であるボクシング部の集団に偶々ともに絡まれて出会い、親しくなったのは、云わば運命の出会いでさえあった。
ボクシング部の集団を率いて両名を苛めたのは内山吾郎(武田航平)。苛める対象として鈴木大地と小林浩司の両名に特に目を着けたのは、両名が「マザコン」であるから。しかし彼が「マザコン」をそこまで敵視せずにはいられない理由は何だろうか。彼の兄貴分である三船憲吾(藤ヶ谷太輔)が母に捨てられた少年であることを想ってのことか、それとも彼自身が実は「マザコン」であることを隠したいのか。