仮面ライダーフォーゼ第十八話
仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第十八話「弦・流・対・決」。
如月弦太朗(福士蒼汰)の「ダチ」の条件は極めて明快。
相手の「本気」を見ることができたなら「ダチ」になることもできるというのが、その根本であると説明された。仮面ライダー部の仲間に入れて欲しいと申し出てきた謎の転校生、朔田流星(吉沢亮)を彼が拒否したのは、転入してきて以来このときまでの間、常に愛想よく振る舞いつつも一度も本気の笑顔一つ見せていない朔田流星を、信頼できないと感じたからだった。本気の笑顔も素顔も見せない人物は、何か重大な隠し事をしているに相違なく、隠し事をしている間柄では「ダチ」にはなれないのだ。
この明快な力強い基準が、思わぬ形で逆効果を生んだ。
フォーゼ=如月弦太朗が進化型ゾディアーツを早くも退治できて、安堵して、変身を解除した瞬間、戦闘の一部始終を陰から見届けていた朔田流星は、自身の狙っていた敵を勝手に退治されてしまったことへの怒りに任せて、現場へ飛び出して、如月弦太朗を殴った。愛想よい優等生を演じ続けなければならかったはずの朔田流星は、演技を忘れて「本気」を出してしまっていたことに自ら気付いて慌てて何とか取り繕おうとしたが、意外なことに、如月弦太朗は朔田流星のこの「本気」の「拳骨」にその「素顔」を見出して感動し、喜んで、「ダチ」になれると感じてしまった。そもそも如月弦太朗は、メテオから攻撃されていた間も、メテオとは「ダチ」になれるはずだと感じていた程だったのだ。如月弦太朗は朔田流星を仮面ライダー部に迎え入れた。
こうして朔田流星は無事、仮面ライダー部への潜入に成功してしまった。如月弦太朗は見事に騙されてしまった。如月弦太朗の底抜けの人の好さは、国際社会における日本によく似ているのかもしれない。とはいえ如月弦太朗が朔田流星の「拳骨」についてメテオの攻撃と同じ位に「本気」を感じることができたと述べていた点には一応の注意を要しよう。如月弦太朗は何かに気付いているのかもしれないと感じさせるからだ。
他方、朔田流星が如月弦太朗を殴ったあと如月弦太朗から「ダチ」論を聞かされて大いに動揺していた点にも注意を要するのは云うまでもない。上手く騙したつもりが、反対に感化されつつあるのかもしれないのだ。