土曜ドラマ理想の息子第六話

土曜ドラマ「理想の息子」。第六話。
海王工業高等学校の三船憲吾(藤ヶ谷太輔)を狙う城国商業高等学校の不良集団。それを率いるのは金狼(林遣都)。金髪の、見るからに怖い奴。
驚くべきことに、金狼は実は小林浩司(中島裕翔)の旧友。かつて二人は同じ中学校に通っていて、ともに苛められていて、苛められることの悔しさ、惨めさを分かち合える仲間だった。しかし小林浩司が今も不良集団に怯えながら強くなりたいと願望する生活を続けているのに対し、金狼は今や一転、一体どのようにしてか強くなり、不良集団の首領の右腕となって多くの手下を従えている。正反対の道を歩んだのだ。
この第六話の話の核をなすのが小林浩司と金狼との対比であることは、「そして誰もいなくなった」という両名の言によって明らかだろう。
身も心も弱くて、よく苛められていて、当然「カリスマ性」の欠片もなくて、それなのに、巨大な建設会社の総帥の地位を世襲するに相応しい「カリスマ性」の持ち主であって欲しい!と期待する母の小林光子(鈴木杏樹)の威厳を恐れて、ゆえに母の前では見栄を張って、家に招待した五人の友を自身の「カリスマ性」に従う手下として母に紹介してしまったことから友の内四名を怒らせた小林浩司は、それでも彼の味方であろうとした鈴木大地山田涼介)をも傷付けて、「そして誰もいなくなった」。
ところが、金狼の率いる狼軍団が三船憲吾をおびき寄せるべく、「ウッチー」こと内山吾郎(武田航平)とともに小林浩司を拉致監禁したとき、鈴木大地が一人で殴り込み、さらに鈴木大地を追いかけてきた鰐川悠馬(入江甚儀)、羽生義和(柄本時生)、象林友行(諸見里大介)、豹塚昌子(吉永淳)の四名も駆け付けて、狼軍団を次々倒した。金狼が態勢を立て直そうとしたときには、もはや彼の他は皆が倒れていた。彼は「そして誰もいなくなった」と呟いた。