仮面ライダーフォーゼ第二十四話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第二十四話「英・雄・願・望」。
正義の味方であるかのように振る舞って、孤高の「ヒーロー」を僭称する白鳥の湖のゾディアーツ「キッグナス」は、普段から善行をなしたいと願望しつつも勇気を欠いて成し得ないでいた江口規夫(永嶋柊吾)から作り出された別人格だった。二〇〇八年に放映されたテレヴィドラマ「あしたの、喜多善男」に倣って云えば「ネガティヴ江口」に他ならなかった。ゆえに彼が自力で善行をなす勇気を出し得た瞬間、そのネガティヴ人格としてのキッグナスは消滅して然るべきだった。しかるに、キッグナスを崇拝する奇妙なファンクラブ組織、鳥居崎ミサ(浅野かや)率いる「醜いアヒルの子の会」はそれを許さなかった。キッグナスを葬り去ったはずの江口規夫に対し、キッグナスの復活を強いたのだ。
こうなると、真の悪はキッグナスであるのか、それともキッグナスを崇拝する「醜いアヒルの子の会」であるのか、断言し難い。後者は少なくとも被害者ではない。
前回から今回にかけての二話ではフォーゼ=如月弦太朗(福士蒼汰)には大して出る幕がなく、主な活躍はメテオ=朔田流星(吉沢亮)が担った。二人目の仮面ライダー、所謂「二号ライダー」が登場するや、二号ライダーが事実上の主人公のようになってしまう展開は「仮面ライダーW」にも見られた。よい傾向とは思えない。

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