日本思想史新論の書評の動画

東京MXの名物番組「西部邁ゼミナール」をニコニコ動画で見れば、京都大学の中野剛志が出演していて、その話題の新著『日本思想史新論』について西部邁が書評していた。十年に一冊の名著で、極めて興味深く、ゆえに普通なら全く売れないような書物であると思われるにもかかわらず、意外に売れているらしい。
確かに江戸時代思想史に関する書物が売れることなんて甚だ稀な事件ではあるだろうが、反面、この書物が論じる尊王攘夷論の問題というのは実は現代の日本が直面している現実の政治経済の問題そのものではあって、江戸の問題を身近な問題として受け止めることができる面があり、ゆえに売れるのも当然だろうとも思える。
西部邁は遠い西洋の古代のプラトーンアリストテレースや十八世紀のヴィーコの問題を身近な問題として読んでしまえる癖が自身にはあると云い、中野剛志も同じように伊藤仁斎荻生徂徠や会沢正志斎や福沢諭吉やスペインのオルテガの問題を身近な問題として読まずにはいられないと発言したが、そのように古の賢人の問題提起の当時における熱気を確と引き受けて熱く解釈できたところに、多くの読者を魅了した説得力があったのは間違いない。

日本思想史新論―プラグマティズムからナショナリズムへ (ちくま新書) 救国のレジリエンス 「列島強靱化」でGDP900兆円の日本が生まれる 売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体