土曜ドラマ理想の息子第十話=最終回
土曜ドラマ「理想の息子」。第十話=最終回。
鈴木大地(山田涼介)が親離れを迫られ、母親である鈴木海(鈴木京香)が子離れを迫られた中で、鈴木海は隣人の倉橋実(沢村一樹)と結婚することで一気に子離れ、親離れを進めることを決意した。これに対して鈴木大地は、自身が「200%の男」に成長すれば恋人を100%愛しつつも同時に母親をも今まで通り100%愛し続けることができるはずだと訴えたが、鈴木海はそんな男がこの世にいるはずがない!と云って却下した上、実は自身こそが「200%の女」に他ならないことを明らかにした。倉橋実と結婚して夫を100%愛しつつも同時に鈴木大地をも100%愛して支配し続ける生活。それは結局、今までと何一つ変わることのない生活でしかなかった…という話。
先週の時点で未解決だった問題を大きく誤魔化して、無理矢理にまとめ上げたような雑多な最終話ではあったが、後半の、結婚式場の母子の対峙の場へ向けて収束してゆく流れには流石に熱い盛り上がりがあった。何よりも鈴木海の、「ただ生んで、せいぜい御飯食べさせた位じゃない。貧乏で、親のできる最低レベルのことしかしてあげられなかったのに。なんでそんなに。なんでそんなに懐くのよ!どうしてそんなに…」という言葉には涙が出た。
ワニの鰐川悠馬(入江甚儀)、ハブの羽生義和(柄本時生)、ゾウの象林友行(諸見里大介)、ヒョウの豹塚昌子(吉永淳)をはじめとする群衆が、コアラの鈴木大地を圧倒した新たな英雄、「マザーカンガルー」こと鈴木海を囲んで歓声を上げる展開には、妙に説得力があった。
これまで天涯孤独だった三船憲吾(藤ヶ谷太輔)は、鈴木海を母のように慕う中で行方不明の母への憎しみを消し去り、母(遠山景織子)を取り戻した上、父のような存在として神部敏郎(ケンドーコバヤシ)に気付き得た。三船憲吾のこの結末は良かったが、三船憲吾を最も熱く愛する「ウッチー」こと内山吾郎(武田航平)に結末がなかったのは一寸寂しい。
最も無理矢理な結末だったと云わざるを得ないのは、小林浩司(中島裕翔)と小林光子(鈴木杏樹)との和解への道だったが、庭園の池における和解の場に限定して云えば画だけはキレイだった。