仮面ライダーフォーゼ第三十九話
仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第三十九話「学・園・法・度」。
天ノ川学園高等学校生徒会で副会長をつとめる杉浦雄太(絲木建太)は、会長の入院を受けて会長代行に就任するや、牡牛座ゾディアーツの実行力を用いて、厳重な校則を定めるとともに軍隊のような風紀委員を編成し、校内の風紀の徹底的な取り締まりを断行して構造改革を推進した。どこにでも現れてどんな生徒をも厳しく取り締まる風紀委員の足音は、まさしく朝日新聞の大好きな「軍靴の足音が聞こえる」をそのまま映像化したものに他ならなかった。
もちろん如月弦太朗(福士蒼汰)とJK=ジェイクこと神宮海蔵(土屋シオン)は風紀委員による取り締まりの対象にされ、ついには逮捕された。朔田流星(吉沢亮)は他校の生徒であることから逮捕を免れたが、両名の取調の場には同行した。
取調では、逮捕された者は生徒会から奇妙な誓約書への署名を求められる。生徒会の会長代行と勝負をした上で、負けたときには生徒会に従って校則を厳守するという誓約書。しかも勝負の種目を決める権利は逮捕された者の側にあり、その者の最も得意な技を選択してよい。当然、逮捕された者は最も得意な技で勝とうとするが、どういうわけか杉浦雄太はどんな技においても相手を圧倒し、圧勝してみせる自信があるようだ。牡牛座ゾディアーツにはそのような能力が具わっているのだろうか。
この勝負の場においてジェイクはブレイクダンス、如月弦太朗はダブルダッチで勝負を挑んだ。ジェイクは二月十二日放送の第二十二話で一度、ブレイクダンスのようなものを見せたことがあったが、本格的に披露するのは今回が初だろう。他方、如月弦太朗のダブルダッチは間違いなく初公開。両名とも明らかに非凡。
それなのに両名とも杉浦雄太との勝負に完敗して、髪型や服装を校則の定める通りに改造されてしまった。仮面ライダー部顧問の大杉忠太(田中卓志)は如月弦太朗の更生を喜び、野座間友子(志保)はジェイクの変貌を面白がっていたが、大文字隼(冨森ジャスティン)と風城美羽(坂田梨香子)は髪型と服装を変えた如月弦太朗を誰だか判別できなかった。
ジェイクは真面目な髪型を恥ずかしがっていたが、それが校内の女子たちには意外に評判がよいと判った途端、俄然やる気を出して、もともとは自身の仲間であるはずの不良集団の取り締まりに精出し始めた。このとき再び華麗にブレイクダンスの技を繰り出して大勢の不良集団を次々薙ぎ倒していったのが見所。
歌星賢吾(高橋龍輝)をめぐる三人の科学者には新展開があった。彼の父である今は亡き歌星緑郎(風間トオル)の友の一人、江本州輝(山崎一)は、彼に対し、我望光明(鶴見辰吾)には近付かないように気を付けよ!と忠告したのだ。江本州輝は歌星緑郎の研究の意味を理解しているに相違ないし、我望光明が恐ろしい人物であることをも恐らくは知っているに相違ない。江本州輝は敵か味方か。
関連して注目に値するのは、我望光明の協力者として、敗戦の幹部ゾディアーツに対する処刑人を請け負っているヴァルゴ(声:田中理恵)が見せた挙動不審。なにしろヴァルゴは、牡牛座ゾディアーツによって追い詰められていたメテオ=朔田流星を、テキトウな理由を付けて救出したのだ。
しかし考えてみれば、この謎のゾディアーツは今まで複数の幹部ゾディアーツを「ダークネビュラ」へ葬り去ってきた。ゾディアーツ集団「ホロスコープス」の幹部の一人である天秤座ゾディアーツ=速水公平(天野浩成)でさえ、この処刑人の存在には脅威と恐怖を感じないわけにはゆかないでいる。ヴァルゴは、まるでゾディアーツの敵であるかのようだ。