健康化/崇高美学

このところ夜になると眠くなる生活が続いているが、この結果、日々の睡眠時間が五時間以上、六時間程度になっていて、よく考えると健全な状態でしかない。これまでの、普段四時間未満しか睡眠を取らない生活こそ不健康で異常だったろう。正常化を生じた原因は何だろうか。時期から想像するに、食生活の健康化に伴って生じたのだろうか。
ところで。
桑島秀樹の著『崇高の美学』を読んで、十八世紀にエドマンド・バークによって論じられてカントによって論じ直された「崇高」概念の読み直しが、それを構成する「表象不可能」や「化石の凝視」等の論を通じて今日の「アメリカの崇高」という思想の孕んでいる悲惨と罪をも明るみに出してゆく展開には驚嘆した。

崇高の美学 (講談社選書メチエ) 崇高と美の観念の起原 (みすずライブラリー)