旅行記三/汐留ミュージアム

旅行記三。
朝八時頃に起きたので、直ぐにテレヴィを点けて「仮面ライダー鎧武」を見たあと、暫し怠惰に過ごしたのち十時にホテルを退出。雨の中、荷物を転がして御徒町駅から上野駅へ移動し、駅構内の大型コインロッカーへ荷物を預けて上野恩賜公園へ。
東京国立博物館の平成館で開催されている「京都―洛中洛外図と障壁画の美」を鑑賞した。洛中洛外図屏風を並べた最初の展示室は凄まじい混雑で、殆ど近寄って見ることができなかったが、他の展示室は意外に閑散としていた。変な映像の上映のために一室を丸ごと使用するのを止めて、洛中洛外図屏風を二室に分けて広々と展示しておけば、もう少し混雑を緩和できていたに相違ない。
売店ではCDとDVDを販売していたので、洛中洛外図の細部に迫る映像を収めた商品だろうか?と期待して見れば、驚くべきかな、エグザイルのCDとDVDだった。この展覧会のテーマ曲を歌っているらしい。なぜ京都でエグザイルなのか。
平成館一階へ移り、講堂前で今回も開店していた和菓子店「鶴屋吉信」で「光悦満雲寿」と「つばらつばら」を購入して、昼食代わりの休憩。
本館の近代美術室で昨日も見た前田青邨の《切支丹と仏徒》や鶴沢探真《王昭君》、富岡鉄斎《旧蝦夷風俗》、横山大観十六羅漢》、下村観山《楠公》、月岡芳年《英名二十八衆句》、原田直次郎《三條実美像》、安藤仲太郎《岩倉具視像》《大久保利通像》等を見直してから本館を出て、東京国立博物館を退出。コインロッカーから荷物を出して、上野駅から新橋駅へ移動。ここでもコインロッカーへ荷物を預けて、新橋駅から汐留のパナソニック汐留ミュージアムへ。着いたのは二時頃だったろうか。道中、強風で傘が壊れそうになった。
パナソニック汐留ミュージアムで開催されている展覧会「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」を鑑賞。見応えがあった。最も魅了されたのはモローの大作《ヘラクレスとレルネのヒュドラ》。古代以来のヘーラクレースのイメージの伝統に反して、モローの描いたヘーラクレースは少年のように無駄のない身体に、しなやかな強さを蔵している。手前に転がっている青年たちの遺体でも、軽やかな描線と淡い着色だけで厚みや奥行を表している。ルオーも良いが、モローの凄さにばかり圧倒された。
夕方四時頃にパナソニック汐留ミュージアムを出て、強風の中を傘を差して歩き、新橋駅へ戻ってコインロッカーから荷物を出して、浜松町駅を経て羽田空港へ。搭乗待合室のチキンカレーで夕食を摂って、バスで移動して搭乗。出発時刻は予定よりも十分間も遅れたらしい。松山行の飛行機の搭乗待合室が普段とは正反対の方角に設けられ、しかもバスで移動させられた点から考えて、天候による変更が色々あったに相違ない。松山空港に着いたのは夜八時四十分頃。帰宅したのは殆ど十時前。帰宅後には一気に眠くなり、起きたのは翌日の昼。起きたあとも怠惰に過ごして、十月二十一日午後四時五十六分に記之。