輝く夜のドラえもんとジョーカー

てんとう虫コロコロコミックス「怪盗ジョーカー」第六巻の巻末には、作者たかはしひでやすが「ドラベース」の作者むぎわらしんたろうから依頼を受けて臨時のアシスタントをつとめた話が記されている。人気漫画「怪盗ジョーカー」の作者として多忙を極めているはずの人が他の漫画家の手伝いに精出しているというのは面白い。「コロコロコミック」の仲間だからだろうか。むぎわらしんたろうといえば藤子・F・不二雄の門人。それで不図思い出したが、今夏に広島県立美術館で開催されていた「生誕80周年記念 藤子・F・不二雄展」における祝福の色紙の中には「怪盗ジョーカー」もあったような気がする。雑誌「Fライフ」第一号に載る「色紙 展示リスト」を見てみれば「たかはしひでやす」の名が記されているし(74頁)、東京タワーにおける展示風景の写真を見れば、色紙群の上から二段目、左から十二行目に、満月を背にしてジョーカーがドラえもん等と一緒に空を飛んでいる様子を描いた色紙が見える(68頁)。広島であの展覧会を鑑賞した時点では「怪盗ジョーカー」を全く知らなかったので特に気に留めてはいなかったが、惜しいことをした。色紙には藤子・F・不二雄に対するどんな思いが記されていたのだろうか。