ジョーカー傑作選

てんとう虫コロコロコミックス「怪盗ジョーカー」傑作選。付録のDVDにはアニメ版の第一話と第二話を収録し、表紙を飾るのもアニメ版の絵。
収録された傑作五篇は、ジョーカーとハチの出会い(「奇跡の怪盗現る!!」)、シャドウ・ジョーカーの出現(「影は舞い降りた」)、スペードがジョーカーとクイーンに出会った回想(「大海を渡る絆」)、ジョーカーとハチとクイーンが見事に連携した事件(「囚われの結婚指輪」)、そしてジョーカーとシルバーハートとの出会い、ジョーカーの怪盗としての旅立ち(「輝く夜への旅立ち」)の話。他に、主要な登場人物の設定について解説する「おまけコーナー」五篇と、特別篇「うかれる怪盗たちの休日」を収録。
特別篇が描くのは、傑作選の付録DVDに収録されたアニメ版の第一話と第二話を見て喜んでいるジョーカーとシルバーハート、喜び過ぎて熱を出して寝込んでいるスペード、出番が来るのが遅いことを悲しんでいるクイーン、出番なんか既に諦めてハチの料理を食べることに専念しているシャドウ・ジョーカーと妹ローズ、アニメで浮かれて油断している怪盗集団を一網打尽にしようとしている鬼山警部と、出番の多さのゆえに自分自身こそが真の主役ではないのかと勘違いしているミスター金有。
クイーンのキャラクター設定におけるモデルの一つは「ルパン三世」の石川五エ門。少年忍者ハチのモデルは主に「ズッコケ三人組」のハチベエだが、他にも「忍者ハットリくん」や「忍たま乱太郎」とともに「ドラえもん」の要素も込められているらしい。確かに、怪盗としては優秀でも、日常生活では炊事も掃除も何もできない怠け者のジョーカーにとって、年下のハチは完全に保護者になっている。ジョーカーは意外にも野比のび太で、ハチが意外にもドラえもん。アニメ版の第十二話では、忍術学校におけるハチの恩師は「ハットリ先生」で、ハチのダメ忍者振りに「にんともかんともニンニン」と呆れていたことをハチの旧友が明かしていた。
アニメ版ではジョーカーのトリックに関する解説役としてシルバーハートが第一話から毎回登場し、かなり出番が多い。実は寺本幸代監督がシルバーハートを気に入っているらしい。なぜかミスター金有の出番が多く、しかも必ずや話を面白く盛り上げるのも、実は脚本家の佐藤大が気に入っているからである模様。脚本家うえのきみこが気に入っているのはスペードと芸術探偵ビリジアンだが、出番は控えめ。