仮面ライダーゴースト第十九話

平成仮面ライダー第十七作「仮面ライダーゴースト」。
第十九話「爆発!絵を描く心!」。
画材眼魔の口調は山下清をモデルにしたテレヴィドラマを想起させるが、「爆発!」という題は岡本太郎を連想させる。画材眼魔は己の絵に描かれたものを己の絵と同じ形に変えてしまう恐ろしい能力の持ち主だが、この能力によって何事かをなそうとしているわけではない。単に絵を描きたいだけ。ゆえに描かれた相手が姿を変えられて困っているのを見るや、絵を破り捨てて元に戻してしまう。能力も大きいが、意欲も大きく、思考が両者を制御できていない。王世子アデル(真山明大)配下の御用科学者イゴール山本浩司)が己の科学の力を完全に制御して目的を着実に達成しようとしているのとは正反対であると云える。
だからこそゴースト=天空寺タケル(西銘駿)は、画材眼魔が今までの眼魔とは異質であることを感じ取り、「友達」にもなり得るのではないかと予感している。この予感の延長上には無論、眼魔界の王子アラン(磯村勇斗)とも「友達」になり得るのかもしれないという期待がある。
アランの側にもその気配が生じ始めているに違いない。気配の現象としては三点ある。第一に、深海マコト(山本涼介)をネクロムスペクターに変身させることで完全に制御できている現状に、不満を抱き始めている点。そもそも友とは対等な間柄にあるはずであり、完全に掌握し得た相手は道具にはなり得ても友にはなり得ない。第二に、人間界に対して生じつつある関心を、拭い去れないでいる点。福嶋フミ(大方斐紗子)のタコヤキ屋台を訪ねたのは、深海カノン(工藤美桜)との再会を求めたからであると同時に、人間界への不可解な関心に突き動かされたからでもあると見える。そして第三に、深海カノンが天空寺タケルを庇ったとき、天空寺タケルへの攻撃を止めずにはいられなかった点。深海カノンを通じて、深海マコト、天空寺タケル、そして人間界に歩み寄ってゆく可能性が高まってきているとしか見えない。