義経第41話

NHK大河ドラマ義経」。滝沢秀明主演。第四十一話。
内大臣平宗盛鶴見辰吾)が珍しく洞察力を見せた。源九郎判官義経滝沢秀明)の表情を見るや、第二の家臣の武蔵坊弁慶松平健)でさえ気付いてはいなかったらしい内面の変化を、彼は察知したのだ。そしてまた彼は平家全盛の頃の自身が兄の灯篭大臣平重盛勝村政信)に恐れを抱き、弟の新中納言平知盛阿部寛)や本三位中将平重衡細川茂樹)をも妬んでいたことを反省した。あと十年早く反省しておけばよかったのかもしれないのに。しかも彼は、京に入る直前、鎌倉殿源頼朝中井貴一)の使者が到着したことを聞いて直ぐに己の死期の訪れを理解した。これまた鋭い洞察。そして愛息の正三位右衛門督平清宗(渡邊邦門)だけでも生命を助けて欲しいと求めた。もっと冴えない貴族として生まれていれば心優しい兄として、父として、平穏に過ごせていたはずなのに。
南都に移された本三位中将は処刑の直前、大納言典侍輔子(戸田菜穂)との対面を辛うじて許された。奈良の僧たちに慈悲心があったかのような描写だが、もちろん本当はそんなものはなかったろう。なかったからこそ八つ裂きの刑など鬼のようなことを企画したのだ。