トリック新作スペシャル

テレビ朝日系「日曜洋画劇場」。特別企画「トリック新作スペシャル」。仲間由紀恵阿部寛主演。堤幸彦演出。林誠人脚本。制作協力オフィスクレッシェンドテレビ朝日東宝制作。夜九時から二時間十四分間の特別番組。
公式サイト「http://www.tv-asahi.co.jp/trick/」。
[主な登場人物&出演者]山田奈緒子仲間由紀恵)●上田次郎阿部寛)●矢部謙三生瀬勝久)●大柴邦夫(西村雅彦)●三田日吉大学教授=福澤慶(大和田伸也)●今出川大学教授=新島同志(本田博太郎)●高田馬場所沢大学教授=大隈早大小木茂光)●池田ハル(大島蓉子)●菊池愛介(姜暢雄)●秋葉原人(池田鉄洋)・ジャーミー(アベディン・モハメッド)・照喜名保(瀬戸陽一郎)●新入居者(なすび・田所二葉)・CMガール(斉藤典子)●山田剛三(岡田真澄・写真のみ登場)●緑川父(山口良一)・テリーいたう(テリー伊藤)・パレオれいこ(すほうれいこ)・暗黒舞踏団長(麿赤児)●緑川祥子(名取裕子)●山田里見(野際陽子)。
放送終了。見終えた。面白かったが、やはり主題歌を歌うのが鬼束ちひろではないのが痛い。従来「トリック」の感動は鬼束ちひろ主題歌によって三四割位は増幅されていたのではないかと思う。あと、結末の方向性とか雰囲気とかには流石に「トリック1」のビッグマザー(菅井きん)とか「トリック2」の100%当る占い師(銀粉蝶)とかの話に近いものがあったが、ビッグマザーと比較した場合、緑川祥子の占いが終わらないところが新しい。緑川祥子が占い師を辞めたいと宣言して自ら命を絶ったのちにもなお、自身の死をも予言した絶対に当る占い師として永遠と化し、大柴邦夫はその伝説を利用して「ビジネス」を続けてゆくのだ。とはいえビッグマザーでも教祖の死後に信者たちが信仰を止めたわけではなかった。あのときと今回との違いは、全ての犯罪が緑川祥子と兄の二人だけによって計画され実行され、大柴邦夫以下の幹部たちは緑川祥子の占い「暗黒厄年」をビジネス化していただけに過ぎないことだ。当然この事件では逮捕者が一人も出ないわけだろう。事件終結のとき矢部刑事の出番が必要なかった所以もそこにある。