喰いタン2第九話

日本テレビ系。土曜ドラマ喰いタン2 KUI-TAN 2」。第九話。
原作:寺沢大介(「イブニング」連載/講談社)。脚本:伴一彦。音楽:小西康陽。主題歌:トリオ・ザ・シャキーン「愛しのナポリタン」(ジャニーズ・エンタテイメント)。プロデューサー:次屋尚&山本由緒。協力プロデューサー:(アベクカンパニー)和田豊彦&井下倫子。制作協力:アベクカンパニー。演出:長沼誠。
金田一少年=かねだはじめ少年(須賀健太)が夢の中で徳川時代の江戸へ時間旅行。食いしん坊の義賊、鼠小僧次郎吉(東山紀之)と出会い、また彼の正体を知らないまま家に住まわせていた御百姓、涼之介(森田剛)と京(市川実日子)の夫妻とも出会った。現代の横浜ホームズエージェンシーにいる野田涼介(森田剛)と出水京子(市川実日子)には今のところ結婚しそうな気配もないが、江戸時代では当たり前のように夫婦だった。この突然の時間旅行によって金田一少年は二つのことを学んだ。一つは、白い米を作ることが大変な労働であること、ゆえに白い米を食うことが大変に有り難いこと。涼之介と京の労働を手伝うことで、それを学んだ。そして己の本心に誠実に正義を貫くためには、時には自己を犠牲にしてでも勇気を奮い、立ち上がることも必要であること。次郎吉の捨て身の義挙を目の当たりにして学んだ。
越後屋酒井敏也)を利用して金儲けをしようとしていた殿様(平泉成)が、物凄く悪そうな奴だった。この人は旗本だろうか、大名だろうか。
気になるのは、北町奉行所の与力、桃太郎(京野ことみ)が同心の五十嵐進=イガラシン(佐野史郎)と彼の部下の深海(阿部亮平)に命じて次郎吉を逮捕したあと、果たしてどのように処分したのか?ということだ。奉行所のキャリア官僚として市政にも司法にも詳しいに相違ない与力の桃太郎は、鼠小僧の罪について「死罪に値する」と判断していたが、確かに実在の鼠小僧はそのように処刑された。だが、このドラマにおける鼠小僧は真に義賊として江戸の人々に愛されていたし、また今回の事件には別の巨悪も絡んでいたわけだから、町奉行所としても慎重に対処し得たのではないだろうか。山本博文東京大学史料編纂所教授によれば、江戸の支配に関して、奉行を支配する立場にある幕府老中が町人に厳しい規制をかけようとしていたのに対し、町奉行は町人を庇う傾向にあったらしい。そもそも江戸時代の政治は全国どこでも住民の自治に補われて辛うじて成り立っていたから、住民の意思を踏み躙ることはできなかったはずなのだ。だから、このドラマにおいても北町奉行の山内殿(伊東四郎)が一寸した「大岡裁き」を見せるのではないか?と期待していたのだが、生憎、逮捕のあとの始末が全く描かれなかった。