ポプラ社の少年探偵団物語集の表紙絵と挿絵

帰途、大街道の書店で別冊宝島『僕たちの好きな明智小五郎』を購入した。同書中の至る所に色々なイラスト満載だが、魅力的ではないし不要で無用だ。むしろ往年のポプラ社刊「少年探偵」作品群を彩った美麗な表紙絵と挿絵を転載して欲しかった。
探偵助手の小林少年が国宝級の仏像に変装して、怪人二十面相がそれに見惚れるという名場面は、勇ましい冒険活劇の痛快なクライマックスであると同時に、心の闇に潜んでいる淫欲や美の世界のさり気なくも印象深い表現でもあるとすれば、そうした「危ない」場面を数多く含有する「少年探偵団」物語集はそのゆえにこそ、二十世紀後半、昭和期の少年男子たち多数を魅了したのだと思う。ポプラ社の刊行したあの全集の表紙絵と挿絵は、江戸川乱歩が読者の少年たちに垣間見せた闇の快の世界の美しさを爽やかにも的確に表現し、読者となるべき少年たちを巧みに誘っていたと云えるだろう。

僕たちの好きな明智小五郎―日本一の名探偵登場全64作品を完全解説!! (別冊宝島 1447)
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