長崎への日帰り旅行

博多への滞在の二日目。
朝十時にホテルを出て十時二十分にJR博多駅を出発。十二時三十分前に長崎駅へ到着。徒歩でオランダ通を経由して国宝「大浦天主堂」を拝観。数人の修道女の方々が拝んでおられたのは遠方から訪ねて来られたのだろうか。その敬虔の様子を見ては、姿勢を正さなければならない気がした。天主堂を拝観したのち旧羅典神学校に設置されたキリシタン資料館を見学。そのあと一度は石段を降りて、旧大司教館の向かい側の広場の「信徒発見」の浮彫を見て、そして隣接する「長崎グラバー園」へ。驚いたのは、玄関から丘の頂上まで「動く歩道」で移動できるようになっていたこと。二十数年前にこんなのがあったろうか。そもそも当時は洋館二三軒しかなかった気がする。それが今や見所は多くなっているし、丘の頂上の旧三菱第二ドッグハウスから旧グラバー住宅までの順路も見事に整備されている。七軒の洋館を見て最後の旧グラバー邸へ行く前には、八軒目の洋館である旧自由亭に設置された喫茶店で休憩。「ハートストーンプレート」という御菓子はチョコレイトで味付けをした長崎名物カステイラにアイスクリームを添えてクリームやチョコレイトで味付けをしてあって、とても美味だった。出口には長崎伝統芸能館があり、展示されていた長崎くんち諏訪大社秋の大祭)の唐人船等の神輿や踊り龍の実物の迫力には圧倒された。館内には売店もあり、図録二冊を購入。
グラバー園を出たとき既に夕方四時前。坂を下りて旧香港上海銀行長崎支店記念館前を通ってさらに歩いて再びオランダ通へ行き、さらにオランダ坂へ。そして湊公園を経由して長崎新地中華街へ。多くの店の開店時間は夕方五時で、四時二十分時点で入ることのできる店は少なかったが、幸い、中国菜館「江山楼」本店に入ることができた。牛肉や叉焼等を入れた黒炒飯と、三種類の焼売を注文したが、誠に美味だった。また来よう!と思った。これで満足できたので博多へ帰ろうかとも思ったものの、少ない時間を最大限に活用すべくタクシーに乗って長崎歴史文化博物館へ移動。
夕方五時半という遅い時刻だったにもかかわらず敢えて長崎歴史文化博物館を目指したのは、同館が夜七時まで開館していると想定してのことだったが、年末年始は六時で閉館してしまうとのことで、これは番狂わせだった。常設展示については観照を断念して、三階の企画展示室で開催中の「バチカンの名宝とキリシタン文化」だけをわずか三十分間で大急ぎ観照したが、長崎大殉教図のような所謂「教科書で見たことがある」名宝が出ていて、できれば多くの時間をかけて観照したかった。なお、今回のこの特別企画展には十五世紀から十七世紀にかけてのスペインのキリスト教美術品が多く出品されていたが、何れも長崎県美術館の蔵品。もともと長崎歴史文化博物館長崎県美術館とともに旧「長崎県立美術博物館」から分かれて新設された施設であることを考えると、少々複雑な気分にならなくもない。