旅行記一京都国立近代美術館日本画前衛展

旅行記一。
明日には朝十時から京都市内で仕事があるので、今日はそのための移動の日。朝十時二十五分に松山空港を発つ予定だったが、困ったことに出発時刻が一時間十五分も遅れ、航空会社からは昼食代として一千円が贈呈された。
吾が想定の当初の予定としては、午前中に大阪へ着いたら直ぐに宝塚の清荒神清澄寺へ行き鉄斎美術館の印章展を観照してから京都へ移動して夜間開館中の京都国立近代美術館日本画前衛展を観照することを考えていたが、これだけ到着時間が遅れると流石に観照時間が少なくなるので想定の通りに上手くは行かない。伊丹空港の飲茶カフェで昼食を摂って暫く思案した末、今日は印章展に行くのを諦めてバスで真直ぐ京都へ。京都駅から地下鉄で烏丸四条へ。四条通を歩いて昼三時頃にホテルへ入った。
宿泊室へ荷物を置いて外出し、岡崎公園京都国立近代美術館へ行き特別展「『日本画』の前衛1938-1949」と、コレクション・ギャラリー「館蔵品による近代の美術・工芸・写真」を観照。
昭和初期に活動した日本画の前衛集団、歴程美術協会の山岡良文や山崎隆、船田玉樹、田口壮、八木虚平、丸木位里、岩橋英遠等を中心に、彼等の周辺の画家たちをも取り上げた今回の展覧会の面白いところは、作品そのものの面白さは無論のこと、関連の作家として、福田豊四郎や吉岡堅二のような日本画家たちに加えて、靉光や長谷川三郎、村井正誠、北脇昇、小野里利信のような洋画家たちをも取り上げていることにある。こうした関連付けの作業によって各作品の面白さが改めて見えてくる。
もう一つ興味深かったところを挙げると、船田玉樹や岩橋英遠を媒介して、所謂「古典主義的」日本画、ことに安田靫彦の歴史画と前衛日本画との間の意外な近さが見えてくること。一般に古典主義の権化のように見られがちな安田靫彦は実際には常に前衛の近くにいた画家だったのではないかと思われる。
夜七時半頃に館を出て、徒歩で四条河原町のホテルへ戻った。疲れているので今宵は読書して寝るのみ。