デカワンコ第二話

日本テレビ系。土曜ドラマデカワンコ」。第二話。
先週に続いて今週も、傑作になりそうな予感を抱かせた。楽しかった場面は数多あったが、中でも面白かったのは、東京拘置所における五十嵐太一(佐野史郎)と花森一子(多部未華子)との対話。
警察犬をも凌駕する鋭い嗅覚によって真犯人を特定し得たにもかかわらず特別捜査本部内で誰からも相手にしてもらえなかったワンコ刑事こと花盛一子が、その時点では唯一の理解者だった獄中の元刑事、五十嵐太一に愚痴をこぼし、五十嵐太一はそれに対して元ヴェテラン刑事としての立場から刑事の心得を伝授し、問題を解決するための指針を示した。
迷える若者に秘伝を授ける役割を担うのは、最前線を自ら走り回る現役の戦士よりも、山奥に隠棲する仙人のような賢者にこそ相応しい。その意味で五十嵐太一が逮捕されて拘置所にあるのは、劇中の画として、好都合であるのかもしれない。さらに云えば、五十嵐太一を演じる佐野史郎には、賢者の役も似合うが、犯罪者の役も似合う。そうした二種の役を併せ持ったのがこのドラマにおける五十嵐太一でもあるのだ。
だが、ワンコ刑事の嗅覚に可能性を嗅ぎ取った者は特別捜査本部の中にもいた。取調室で自白を引き出すのをよくする警部補のシゲこと重村完一(沢村一樹)と、現場の捜査をよくする同じく警部補のコマこと小松原勇気(吹越満)。普段は喧嘩ばかりしている二人は、事件の真相に関する直観では意外に同じ方向を見ていることがさり気なく描かれていて、その点も面白かった。
ワンコ刑事と殆ど同年齢の同僚、キリ巡査こと桐島竜太を演じる手越祐也は、乙女風な役を演じるときよりもこのドラマにおける熱血刑事キリのような男らしい男子を演じるとき、元来の乙女風な感じが上手く色気として活かされて格好よく見えるのかもしれない。