ニコニコ動画

京都大学都市社会工学専攻の副専攻長でレジリエンス研究ユニット長でもある藤井聡教授が、軍事作戦としての「疎開」をキーワードにして、日本国内の都市機能の分散化による日本列島の強靭化と、そのための交通インフラ整備と中央集権の必要性を説く熱血の講義をニコニコ動画で見ることができる。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17707230」。
極めて秀逸であるのは、神話の時代から江戸時代までの長い間に列島の各地に幾つも形成されていた世界有数の地方都市群が、明治維新以降の東京一極集中化によって衰退しつつあるにもかかわらず今なお潜在力を温存しているところに着目し、公共インフラの適切な整備によってそれを甦らせ得ると論じている点。
そして地方分権ではなく逆に中央集権によって地方分散化を進めることで、列島の北方や北陸、山陰に経済や文化の交流圏を作り出し得るのみならず、関西を拠点にして北陸も山陰も四国も結び付けることによって関西に真に首都圏に比肩し得る経済と文化の交流圏を創出し得ることを論じていること。九州の宮崎を陸の孤島のままに留めている原因が東京一極集中にあり、その問題の解決のためには近隣との交流を可能にする交通インフラの整備が不可欠であることも指摘している。
注意に値するのは、国防や経済の問題を考えるにあたり、東京から各地を見遣るのではなく、地域を分断して国そのものを見失うのでもなく、日本列島の全体像を見渡して国民のための問題として見詰め直すべしと主張している点で、なるほど、そう考えるなら地域主権道州制論が論外であるのは一目瞭然だろう。
歴史に基づいていて現実的であるのに夢がある。元気と勇気を与える講義。
京都大学の公式サイト内には都市社会工学専攻の藤井聡研究室の公式サイトとともに、レジリエンス研究ユニット公式サイトが設置されてある。ここには参議院における藤井聡教授の公述資料や今までの研究業績が公開されていて、かなり読み応えがあると見える。
研究室「http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/」。
レジリエンスhttp://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/resilience/」。

プラグマティズムの作法 ~閉塞感を打ち破る思考の習慣 (生きる技術! 叢書) 救国のレジリエンス 「列島強靱化」でGDP900兆円の日本が生まれる 列島強靱化論―日本復活5カ年計画 (文春新書) なぜ正直者は得をするのか―「損」と「得」のジレンマ (幻冬舎新書)