仮面ライダードライブ第十七話

平成「仮面ライダー」第十六作「仮面ライダードライブ」。
第十七話「デッドヒートを制するのはだれか」。
仮面ライダードライブに変身する警視庁特状課巡査、泊進ノ介(竹内涼真)は前回の戦闘で未完成のままのシフトカー「シフトデッドヒート」を使用し、ハート(蕨野友也)に打ち克ったが、その副作用で陥ったデッドゾーンから抜け出すためには、仮面ライダーマッハから攻撃を受けなければならなかった。ハートをチェイス上遠野太洸)が攻撃して止めたように。対するにマッハ=詩島剛(稲葉友)には、米国から呑気に旅行して来たハーレー・ヘンドリクソン博士(大月ウルフ)がシフトデッドヒートの完成品を提供したが、これを用いてもやはりデッドゾーンに突入するのを避けられないらしい。これを止めた攻撃は、特状課巡査、詩島霧子(内田理央)の「ライダーキック」だった。
無敵の強さであるかとも思われていたハートのデッドゾーンは、それと対等の力を持つシフトデッドヒートの出現によって優位性を失ったかに見えるが、むしろハートは、真剣に打つかり合える強敵の出現を心から喜んでいる模様。これに対するに、強敵の出現に心乱れているのはブレン(松島庄汰)。メディック(馬場ふみか)がハートを治療し得る立場にあることを利用してハートに取り入っている様子を覗き見て嫉妬しつつ、同時に己のこの卑屈な行動をも悔しがっていたが、さらにブレンを怒り狂わせたのは、チェイスの改造についてハートに説明するメディックがブレンの手法を「拙い」と断罪し、己の手法の優位性を誇っていたから。
メディックの論を聞くに、そもそもチェイスは人間を守るために作られたロイミュードであり、ゆえに自身を除くロイミュードに敵対する。そこでブレンは、捕えたチェイスからそれまでの記憶を抹消し、ロイミュード陣営の友とした。しかるに、ロイミュードを攻撃して人間を守るという機能を完全には消去できなかったからか、ブレンはその機能を、配下のロイミュードが暴走した際に制裁を加えるという役割に改竄した。こうして「ロイミュードの死神」という奇妙な存在が出現したらしいのだ。とはいえ、この最も基礎に置かれた機能を放置すれば、何時かは、人間を守るためにロイミュード陣営それ自体に敵対する事態をも生じないとは断言できない。それに伴って記憶を取り戻すことさえも生じかねない。
そこでメディックが採用した手法は、唯一、チェイスの守る対象を、「人間」から「ロイミュード」に書き換える点だけだった。この結果、チェイス仮面ライダーのみならず人間をも攻撃し得るようになったが、代償として、ロイミュードの死神という役割を失った。
なるほど、メディックの手法は巧妙で鮮やかだが、このような改竄がハートやブレンにも及んではいないかを心配せざるを得ない。