ニコラウス・アーノンクール

ウィーン楽壇の長老、ニコラウス・アーノンクールが逝去していたことを知った。享年八十六。それは三月五日のことで、翌日には世界中で報じられていたらしい。昨年末、体調不良を理由に引退することを表明していた時点で嫌な予感がないわけでもなかったが、今朝、偶々見ていた新聞紙上に追悼の文が載っているのを見たときには目を疑わざるを得なかった。アーノンクールの最終録音と銘打たれるベートホーフェン交響曲第四番&第五番のCDを買ったのは先月のことで、確かに「絶筆」になったわけだが、とても最晩年の仕事とは信じ難い程に、相変わらず奇抜で斬新で強烈な演奏だった。