新番組=ブラックプレジデント第一話

今宵からの新番組。関西テレビブラック・プレジデント」第一話。
所謂ブラック企業の経営者、云わばブラック経営者が、どういうわけか一流ではない大学の経営学経営学科に社会人枠の一員として入学するという話。主人公がブラック経営者である以上、不愉快な言動の連続が予想されたが、第一話を見た限り、恐れていた程には不愉快ではなく、むしろ話として面白そうでさえあるのは、一つには当の主人公、三田村幸雄(沢村一樹)が単なるブラック経営者ではないらしいと見えるからだろう。一般に想定されるブラック経営者というのは多分、金融資本家で新自由主義者で金の亡者でしかないように思われるが、三田村幸雄はそうではない。もともとは服飾デザイナーとして成功した人であり、今なおデザインとディスプレイの目利きであって、信じるところを表現して人を魅了することに熱意を持ち続けている。従業員を単なる道具(=奴隷)としか見ない点ではブラック経営者そのものではあるが、実は彼は彼自身をも道具にしているようにも見える。彼自身が常に最前線で率先して行動し、判断し、企画している。ブラック経営者らしからぬ働き振りではないだろうか。
そして服飾デザイナーとして、信じるところを表現して人を魅了することに熱意を持つ人であるからこそ、大学の映画サークルに迷い込んだのであるに相違ない。
城東大学映画サークル「アルゴノーツ」の部長は工藤亮介(永瀬匡)。副部長は映画監督志望の前川健太(高田翔)。一年前には「仮面ライダーウィザード」で陽気な仮面ライダービースト=仁藤攻介を演じていた永瀬匡は、いかにも宴会好きな学生らしく見える。高田翔は、怒りと苛立ちの眼が鋭く、いかにも芸術家志望の神経質な学生らしく見える。
三田村幸雄の経営するブラック企業の名は、トレスフィールズインターナショナル。社長であると同時に筆頭の株主である彼の一番の側近が、秘書の冴島真理(国仲涼子)と明智志郎(永井大)。面白いことに、役員の末端には小早川という人物もいて、何の意見もない無能の人と見られてはいるが、三田村幸雄の高等学校時代の同級生で、常に社長の意見に同意するだけであることから社長にとって都合の良い役員でもあり、ゆえに三田村幸雄には重宝されているらしい。決して裏切ることがなかろうと期待されている人物の名が「小早川」であるというのは、殆ど、必ずや裏切るだろうことを視聴者に予告しているようなものだろう。そしてそうなると「明智」というのも、何か波乱を起こしそうであると思えるのは云うまでもない。