ブラックプレジデント第八話

関西テレビブラック・プレジデント」第七話。
ブラック企業のブラック経営者…と云われている「トレスフィールズインターナショナル」の筆頭株主であり社長でもある三田村幸雄(沢村一樹)の酷い扱いに耐え難さを感じて社長秘書の冴島真理(国仲涼子)が数日間の有給休暇を取った結果、三田村幸雄は予想外の苦難に見舞われたが、結局は冴島真理に救われた。
この間、城東大学経営学部でブラック企業を研究しようとしているブラック研究室のブラック講師、秋山杏子(黒木メイサ)は冴島真理と謀って、この機会に三田村幸雄に反省を促そうとしていたわけだが、結局は、両名揃って三田村幸雄に騙されて、反省させるどころか上手いこと利用される格好になってしまった。
しかるに、秋山杏子と冴島真理を騙す方向へ三田村幸雄を促したのは、城東大学経営学部の学生で映画サークル「アルゴノーツ」の女優でもある岡島百合(門脇麦)に他ならない。思うに、この劇中で最も卑劣な人物は、三田村幸雄でもなければ秋山杏子でもなく、三田村幸雄の妹の婚約者だった男でもなく、この岡島百合ではないだろうか。最終回までの間に、天罰が下されることを願わざるを得ない。
映画サークル「アルゴノーツ」の、副部長である監督である前川健太(高田翔)は今回、三田村幸雄からの「アウトソーシング」の提案に従い、岡島百合に代わる新たな女優を発掘するため、工藤亮介(永瀬匡)等とともに女優オーディションを開催した。美人女優を獲得したいと考えているようだが、その美人に演じさせる役は「走るゾンビ」。
ところで、前川健太が見舞われている現今の不幸は、三田村幸雄に云わせれば、女優を失うと同時に恋人を失うという事態であり、かかる不幸を避けるための教訓として、「卵を一つの籠に入れるな」ということを三田村幸雄は述べた。これを聞いて工藤亮介は感心し、携帯電話でメモを取ろうとしていたが、前川健太は「おい、メモんなよ!」と反発した。前川健太は今なお三田村幸雄に対する反抗の姿勢を続けているのに対し、工藤亮介をはじめ他の映画サークル部員は今や、鬱陶しがってはいても反発してはいない。しかし冷静に考えるなら(否、そんなに冷静に考えるまでもなく)、アウトソーシング論(=派遣労働推進論)にしても「卵を一つの籠に入れるな」論にしても、相変わらず人を道具としてしか見ていないことを露呈していて、これから就職しようとしている学生であれば大いに反発して然るべき話ばかりではないのだろうか。