旅行記二/国立西洋美術館シャセリオー展でアレクシ・ド・トクヴィルの肖像/東京国立博物館でヤキソバ/松屋銀座の君の名は。展と君の名は。カフェ

昨夜は「ハイ☆スピード!」イヴェントに参加して新情報にも接して色々考えさせられて興奮して夜更かしをしてしまい、今朝は八時半まで起きられなかったが、急ぎ準備を整えて十時前にホテルから外出。JR秋葉原駅から上野駅へ移動し、上野恩賜公園へ。
国立西洋美術館で五月二十八日まで開催されている「シャセリオー展」を鑑賞。アングル、ドラクロワとモロー、ルオーの間を繋ぐ重要な画家で、異国風の女性像の美が印象深いが、今回、最も心惹かれたのは黒鉛画《政治家にして公法学者のアレクシ・ド・トクヴィルの肖像》と、油彩画《アレクシ・ド・トクヴィル》。政治思想史の領域では一般に「アレクシス・ド・トクヴィル」のカタカナ表記で知られている人物の肖像画二点に他ならない。完成作の油彩画で観ても、いかにも知性と品格を具えた貴族らしい姿に描かれているが、六年前の黒鉛素描で観ると、一段と知性の輝きが伝わってくる。最近はトクヴィルの愛読者が増えているのではないかと思われるが、是非、この機会に彼の気品溢れる姿を観ておくべきではなかろうか。「シャセリオー展」を観終えたあと、常設展を鑑賞。新収蔵の、スケッジャ筆《スザンナ伝》が豪奢で素晴らしかった。最後に、『シャセリオー展』図録を購入し、前庭のヘーラクレースの背面を鑑賞してから美術館を出たのは昼十二時二十三分。
大賑わいの公園を直進して、十二時半、東京国立博物館へ。本館一階の近代美術室には渡辺省亭の鶏。竹内棲鳳(栖鳳)の平安神宮図の屏風。二階には、北野天神縁起絵巻の断簡一幅。典侍服(十二単)も目を惹いた。土方稲嶺の三幅対も面白かった。浮世絵室には渓斎英泉の《武陵桃源》。貴賓室も公開されていた。前庭の池から水がなくなっていた。出口の脇で富士宮ヤキソバを販売していたので、それを買って遅めの夕食。東京国立博物館(旧帝室博物館)という高級な場所でヤキソバを食べるという違和感が面白かった。
二時三十五分頃に博物館を出て、公園を歩いていたところ、女性アコーディオン奏者が演奏よりも話芸で面白かったので暫く見物。JR上野駅のパンダ橋を渡って銀座線の上野駅へ行き、三時十八分、銀座駅へ。
松屋銀座の八階で今日まで開催されていた「君の名は。展」を鑑賞。昨日までは夜八時まで開場していたようだが、今日は最終日ということで夕方五時で終了すると告知されていたので、時間の余裕がない中、同じ階で同じく今日まで開催されていた「追悼 水木しげるゲゲゲの人生展」の鑑賞を諦めるしかなかった。残念。しかし「君の名は。展」の会場内は大混雑で、特に入口の辺の混雑が凄まじく、企画書「男女とりかへばや物語」や「君の名は。」絵コンテを確り観ることは不可能だった。インターネット上の感想によると、従来どの解説書にも出ていなかった創作上の重要な情報が明かされていたようで、確認できなかったのが実に残念。会場を出たあと、グッズ売場を見て回り、クリアファイルや絵葉書を中心に十五点のグッズを購入。
満足して帰ろうと思い、地下へ降りたが、不図、「コラボカフェ」にも行っておきたいと思い立ち、エレベーターで再び八階へ。展覧会場の横にあるイタリア料理店「イ・プリミ」が「君の名は。カフェ」になっていた。入店して直ぐ、「星降る夜のデザートプレート」と「彗星ソーダ(立花瀧)」を注文。青い瀧くんソーダも、ティアマト彗星の下にチョコレイトで「お前は誰だ?」と書かれたケーキも、それぞれ色彩豊かで美しかった。宮水三葉の真似をして全てiPhoneで撮影しておいた。見渡せば、男一人で来ている客も老若を問わず意外に少なくなかった。
五時三十七分に店を出て、不図見れば、「君の名は。展」の入口は封鎖され、その中では既に撤収作業が進んでいた。額装された原画資料は既に片付けられているように見えた。グッズ売場も閉店していたが、一応、ガチャガチャは残っていて、熱心にガチャガチャをしている人々がいた。急に名残惜しさを感じながらも地下へ行き、日比谷線銀座駅から秋葉原駅へ。移動中はウォークマンで、新海誠の傑作「言の葉の庭」の主題歌である秦基博「Rain」を繰り返し聴いていた。八天堂のチョコレートのクリームパンを買い、ホテルへ帰った。