NHK大河ドラマ義経の平家役者

今宵NHK総合では大河ドラマ義経」開始前の予告の特別番組が放送されていたが、雑誌「ザテレビジョン」二〇〇五年第二号でも「悲劇の英雄「義経」の宿命」と題する特集が組まれている(pp.36-39)。これを見て思うに、今月九日に始まる大河ドラマ義経」の出演者の人選では平家の公達が魅力的に見える。平知盛阿部寛平重衡細川茂樹平維盛賀集利樹。これ以上に的確な配役が他にあるだろうか。特に賀集利樹の演じる維盛に関しては富士川合戦での敗走や高野山での入水など見所も多いが、何れも人間の弱さを物語る話で、賀集利樹には似つかわしいし、彼自身も気合が入ることだろう。ここで不図思えば知盛・重衡・維盛の逸話・伝説については近代日本画の巨匠、前田青邨がそれぞれ画題に取り上げて描いていて、何れも高く評価されている。明治期の力作《囚われたる重衡》(岐阜県美術館蔵)、大正期の傑作《維盛高野の巻》(東京国立博物館蔵)、そして昭和期の代表作《知盛幻生》(某法人蔵)。大河ドラマ義経」の裏の主人公は平家の貴公子たちではないかと期待しながら見るのも面白いかもしれない。