夜王YAOH最終回

TBS金曜ドラマ「夜王YAOH」。倉科遼井上紀良原作(作&画)。いずみ吉紘脚本。主題歌=TOKIO「Mr.Traveling Man」。ホスト監修=零士&大内基。貴島誠一郎チーフプロデューサー。加藤章一プロデューサー。脚本スタッフ=渡辺啓渡辺慶)&千葉美鈴。演出スタッフ=倉貫健二郎&堀英樹。酒井聖博演出。ドリマックス・テレビジョン&TBS製作。松岡昌宏主演。第十一話=最終回。
新宿歌舞伎町随一の名門ホストクラブ「ロミオ」の復活。亡き加納麗美(かたせ梨乃)の夢見た理想のホストクラブのことについて矢島輝彦(内藤剛志)から話を聞いたことでNo.1ホスト聖也(北村一輝)とNo.2ホスト的場遼介(松岡昌宏)は再起を決意。聖也は理想の実現のため遼介に協力を要請。遼介は聖也からの「指名」を「光栄」なこととして受け取った。遼介は早速、パチンコ店で働いていた修(要潤)に声をかけ、工事現場で働いていた金四郎(佐藤二朗)に声をかけた。これを受けて修は、夏輝(石垣佑磨)とともに勇作(水谷百輔)・啄郎(三田村瞬)・晴彦(加藤厚成)の若手衆を召集。他方、聖也もまた、古巣の六本木のホストクラブで下働きに甘んじていたNo.3ホスト蓮(須賀貴匡)に声をかけて聖也派の召集を指示。蓮は直ちに動き、No.4の大河(青木伸輔)以下、聖也派のホスト衆を集めた。蓮にとって、聖也のためなら、召集は何ら難しくはなかったのだ。さらに聖也は、敬愛する聖也のため遼介を刺したあと責任を感じて失踪していた腹心中の腹心、No.5の光(忍成修吾)をも探し出して招いた。こうして散り散りになっていた「ロミオ」ホスト衆が聖也&遼介のもとに再結集した。夜の新宿歌舞伎町における彼らの行軍、所謂「総回診」の図は実に堂々美麗で迫力に満ちていた。
没落の「ロミオ」の終焉のときを見届けるため「ロミオ」に悠然と来店した二階堂フジ子(杉本彩)の前で、逆に「ロミオ」完全復活のときを見せ付けた遼介と聖也。二階堂の開店したホストクラブ「ゴージャス」に修と蓮が乗り込んで全ての客を奪い去った展開も痛快だったが、無残に敗北した「ゴージャス」のホスト衆(川久保拓司渋江譲二ほか)は、彼らの想像を絶する強敵を敵に回してしまっていたわけで、流石に気の毒ではあった。急展開の直前までの彼らの強気で陽気で能天気な笑顔が、今となっては痛々しい。彼らが勝利を信じて疑いもしなかったとき、既に敗北は決まっていたのだ。二階堂に加担して「ロミオ」没落を謀り「ゴージャス」のオーナーに就任していた佐々木篤(矢島健一)は、かつて「ロミオ」では部下だった修と蓮からの鮮やかな反撃を受けても抵抗する術もなく、「ゴージャス」ホスト衆に八つ当たりをしていた。そして訪れた聖也&遼介と二階堂との対峙。その最後、完敗の悔しさの余り、いやしくも現在ホストクラブの経営者でありながら「たかがホスト風情が!」と口汚く罵倒しようとした二階堂の前に、新宿歌舞伎町ホスト界に聖也と並んで「四天王」と称される「ブルーナイト」の赤城達也(保坂尚希)、「ダンディクラブ」の沢村慎吾(岡田浩暉)、「ドンファン」の一ノ瀬優(金子昇)の三人が登場。新宿歌舞伎町の掟を破った二階堂が今や新宿歌舞伎町全体を敵に回したことが明らかになった。こうして事件の解決篇は豪華オールスターキャストで彩られた。実に熱い展開だった。
後日談も熱かった。聖也は思うところあって「ロミオ」から去った。聖也に「体を売った」と云う光を引き連れて大阪に下り、二人揃って新人としてやり直しつつ、先ずは大阪を制圧して、そこから改めて新宿歌舞伎町での天下盗りを目指すことにしたというのだ。