ダンドリ。第十話

フジテレビ系。ドラマ「ダンドリ。Dance★Drill」。脚本:半澤律子。原案:長谷川晶一「ダンス・ラブ★グランプリ〜県立厚木高校ダンスドリル部・全米制覇の記録」(主婦の友社)。音楽:住友紀人。主題歌:UVERworld「SHAMROCK」(gr8! records)。ダンス監修:前田千代(日本チアダンス協会)。企画:金井卓也&松崎容子。プロデュース:森安彩&永井麗子。制作:フジテレビ&共同テレビ。演出:石川淳一。第十話。
冒頭十五分間分を見逃して残念。
鈴木カルロス三郎太(増田貴久)は、両親のブラジル帰国後、毎日の食事を石橋渡(国分太一)に世話になることにして、さらに序でに彼の居室に居候することにもなった。石橋渡先生はカルロスを応援したいのだと云った。橋本吾郎(篠山輝信)が「三郎太」の情熱を愛するのと同じく石橋渡先生もまた、高校三年の日々を精一杯に熱く生きてゆこうとするカルロス三郎太に己の理想を求めているのかもしれない。カルロスには金銭や家事に煩わされることなく残された月日を楽しんでもらいたいと申し出たのだ。カルロスのため、心尽くしの料理を準備する石橋渡先生の相棒、マコト(大倉孝二)は、カルロスの名を間違えて「サントス」呼ばわり。カルロスは何かを食うとき幸せな表情。
石橋渡先生とマコトが夜、金沢にいる家元、父の石橋誠三(夏八木勲)とのことで語り合っていた間、彼らの背後、奥にある部屋の片隅で毛布に包まり横になっていたカルロスの後姿は、まるでヌイグルミのように愛らしかった。
相川要(榮倉奈々)の父、相川圭三(美木良介)が街を去り行こうとする日。さつき市立さつき高等学校チアダンス部「MAYFISH」のための新しい制服を寄贈したのが実は相川圭三であることを古座野史明(六角精児)から明かされて、相川要は父に感謝を伝えるため走ることにした。でも今、相川要は脚を傷めていて自転車には乗れない。カルロスが立ち上がった。相川かなめんを自転車の後部座席に乗せて走ることを決意したのだ。激励しつつも決して事故など起こさないよう注意した「MAYFISH」の皆の前、カルロスは「死んでも守る!」と誓い、走り出した。熱く颯爽とした男前カルロス。
そして「さつき魚」の伝説のある河原の夕暮れ。相川かなめんの父、圭三の話は衝撃的だった。「MAYFISH」の由来の、あの「さつき魚」の絵を描いたのは高校時代の彼だったのだ。永く離れて暮らしていた父と娘との間の絆の深さを目の当たりにして、感動して泣き出しそうになっていたカルロス。そのときの彼の表情、横顔は、夕陽に照らされて美しかった。
ところで、整形外科医の役を演じていた春田純一は、二〇〇四年放送「仮面ライダー剣ブレイド)」ではトライヤルB広瀬義人を演じていた。同じ「仮面ライダー剣」で仮面ライダーカリス相川始(森本亮治)を居候させていた喫茶店ハカランダ店主の栗原遥香を演じていたのが、このドラマで佐藤智子先生を演じている山口香緒里。また、春田純一は同年のテレビ朝日開局四十五周年記念企画「忠臣蔵」では上杉家の小林平八郎を演じたが、このとき上杉家の家老、千坂兵部を演じたのは夏八木勲だった。