美味学院第五話

テレビ東京。ドラマ「美味學院(デリシャスガクイン)」。第五皿「最強生徒登場!初恋は激辛の味」。
原作:青木健生&AVEX ENTERTAINMENT INC.。脚本:広田光毅。主題歌:AAA「唇からロマンチカ」(avex trax)。挿入歌:AAA「That's Right」(avex trax)。音楽:Jack's Law。プロデューサー:瀧川治水&藤平晋太郎&佐々木博之。企画:高橋なな美&星野卓也&二村慈哉&渡辺和哉。制作:テレビ東京制作&デジタルハリウッド エンタテインメント。製作:(C)「美味學院」製作委員会。演出:堀江慶
南郷隆司(中村優一[D-BOYS])の闘い。桂城秀吾(與真司郎[AAA])が胸中に秘めていた友愛、同志愛の熱さをもそれは浮かび上がらせた。北坂狼馬(西島隆弘[AAA])や高杉凛(相葉弘樹)、マシュー・ペリエ三浦涼介)をはじめ同級生には何時も敵対的に、冷ややかに接してきた桂城も、一年先輩の南郷に対しては連帯の精神を明らかにした。しかも熱く。それは本来の彼が抱いていたものだったに相違ない。しかもそこには女に溺れて料理人の心を見失っていた南郷への苛立ちがあった。その裏面にはエロティクな情念さえ燃えてはいなかったろうか。熾烈な闘いの済んだ夕暮れの校庭、南郷に抱き付いていた狼馬や凛やマシューを遠くから見詰めながら桂城が「ベタベタしやがって」と笑みながら呟いたのは、密かな嫉妬をも含んでいたと見ておこう。凛が陽気に表現できることを、桂城は表現に秘めるのだ。
南郷先輩の強みは何でも聞き分ける耳にある!と桂城は叫んだ。なるほど確かに南郷が初めて登場した第二話でもその特長が発揮されていたのを想起する。底抜けの馬鹿ドラマだが、意外に確りした作りなのだ。
美味四天王の筆頭、徳平慶伸(城咲仁)の判定は二義的だ。彼は南郷の技術における失敗と職人としての甘さを否定したが、作られた料理の香と味については、審判としての己の理性をも狂わせる程の魅力があることを認めていたからだ。南郷は、「美味」に関して負けたのではなく、女に溺れたことにおいて負けたのだ。
女に溺れることなんか決してないらしいのは虎堂研(天野浩成)。女の子と付き合ったことはないの?と土方歳輝(河合龍之介)に聴かれたときも、いかにも誇らしげな様子で「無論!」とだけ答え、不敵の笑みを浮かべながら「感心しておるのか?」と訊ね、得意気だった。