ホタルノヒカリ第六話

日本テレビ系。水曜ドラマ「ホタルノヒカリ」。
原作:ひうらさとるホタルノヒカリ」(講談社)。脚本:水橋文美江&山岡真介。音楽:菅野祐悟。主題歌:aiko「横顔」。プロデューサー:櫨山裕子&内山雅博&三上絵里子。制作協力:オフィスクレッシェンド。演出:南雲聖一。第六話。
休日、雨宮蛍(綾瀬はるか)をドライヴのデートに誘った手嶋マコト(加藤和樹)の無表情、無反応、無愛想はどうやら、雨宮が楽しそうではないと見えたことから来る不安感や焦燥感の表出だったらしい。しかし雨宮の側から見れば事態は逆だった。手嶋が無表情だからこそ雨宮は楽しめなかったのだ。雨宮からの質問に対し手嶋が自ら応えることなく同じ問いをそのまま雨宮に返して答えを求めたのも恐らくは、下手な答えを返して雨宮を失望させるのを恐れてのことだったろうと推察されるが、他方、雨宮の側こそ、彼からの問いに対する己の答えに彼が微妙な反応しか示さないのを見ては、己の答えの下手さ加減に自ら失望して、ますます楽しめなくなってしまっていた。雨宮は「大人の女」「ステキ女子」であろうとして身の丈に合わない無理な答えをしていたが、手嶋も、その意表を突く答えに上手く反応し切れないでいたと見える。誤解と失望の無限階段とでも云えるだろう。
手嶋は雨宮が誰か男と同居しているのではないかと疑った。この疑いは一応は晴れた。雨宮の同居人である高野誠一(藤木直人)が(偶然の重なった幸運の結果とはいえ)己の留守中の家に手嶋を泊め、雨宮と一緒に過ごさせたからだった。確かに、微風の涼しい縁側で庭の緑を眺めながら喫茶をする雨宮と手嶋の二人は実によかった。しかし雨宮があの家で男と同居しているのは事実ではある。このままでは嘘をついた状態だ。真に事態を解決するためには真相を明らかにする以外にはない。実際それは必ずしも難しくはなさそうに思える。なにしろ酔った手嶋が高野部長に連れられて雨宮の家(=高野部長の家)に泊まった夜、酔って寝てしまう前までは彼は、雨宮との恋のことについての悩みを、部長=高野誠一に相談していたのだ。高野部長は職場において彼の悩んでいる様子に気付いて、帰途に行き付けのバーに誘って悩みを聞き、助言を与え、激励した。「ドライヴ中の雨宮が楽しそうには見えなかった」という手嶋の悩みについても、高野部長は「雨宮も緊張していたのだろう」という(事実その通りの)明快な答えを与えた。そして大切な恋を些細なことで見失うべきではないことを説いた。高野部長は今、手嶋にとっては大の理解者なのだ。少なくとも現時点では恋敵ではあり得ない。そうであれば高野部長と雨宮が同居生活を始めるに至った経緯や、同居生活の実態について、正直に説明すれば手嶋も納得するのではないだろうか。