妖怪人間ベム第七話
日本テレビ。土曜ドラマ「妖怪人間ベム」。第七話。
妖怪人間のベム(亀梨和也)とベラ(杏)とベロ(鈴木福)は三人家族として行動しているが、この三人家族に親しく接する人間たち二組もそれぞれ三人家族であるのが面白い。刑事の夏目章規(北村一輝)は妻の夏目菜穂子(堀ちえみ)と子の夏目優以(杉咲花)とともに三人家族を構成している。もともとはもう一人、男子もいたが、五年前に謎の事故に巻き込まれて亡くなり、現在は三人家族。他方、妖怪人間の誕生の謎について何か手がかりを握っているのではないかと期待されていた生物学者の緒方浩靖(あがた森魚)は孫の緒方小春(石橋杏奈)と家政婦の町村日出子(広田レオナ)とともに三人家族を構成している。
緒方家には親子が含まれず、親と孫の二人に家政婦を加えた三人組で、正確には二人家族であって三人家族ではないが、どう見ても三人家族にしか見えない。しかもこの三人家族の中で最も存在感が大きいのは家政婦の町村日出子であると見える。この一家の中心人物にさえ見える。この何とも奇妙な三人家族が、昼も夜も休みなく縦横無尽に活動しているベムとベラとベロの「正体」について不思議に思い、興味を抱き、三人で話し合って検討した結果、一家で「探偵」を営んでいるに相違ない!と結論付けていたが、これが面白いのは、奇妙な三人家族の「正体」について家族三人で話し合って考えないではいられなかった彼等もまた、よい意味で奇妙であるからだ。
夏目家で窃盗を働いた山田幸平(綾野剛)を、早くも家族同然に心配せずにはいられなくなった夏目家の三人にしても、この好奇心旺盛な緒方家の三人にしても、それぞれ別の意味でベムとベラとベロの三人とよく似ているのかもしれない。
ちなみに、山田幸平の幼少時を演じた小林海人は、今年の前半、「橋田壽賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」において野田弥生(長山藍子)と野田良(前田吟)の孫の野田勇気(渡邉奏人)の愛する友で、野田家の里子にもなった合田篤を演じていた子役。声と顔で直ぐ判ったが、やはり橋田壽賀子流の長台詞から解放された所為か、生き生きとしていたように見受けた。