文化立国

フランス政府のフランス文化省フランス美術館局の国立ルーヴル美術館は、東北大震災の被災地を支援する活動の一環として、来る四月から九月にかけて、日本国の岩手県立美術館宮城県美術館福島県立美術館の三館を会場に、ルーヴルの館蔵品による巡回展を開催することを決定したとの報道あり。展示の主題を「出会い」と定め、古代エジプトの彫刻や十八世紀ロココの巨匠ブーシェの絵画等、二十四点の名作を選定した由。
誠に素晴らしい。とはいえ世間には、フランスの国策としての原子力発電の推進を美化するための事業に過ぎないのではないか?という冷ややかな見方もあるかもしれない。仮にそうだとしても、芸術作品・文化財が強力な政治的「武器」であり得ることを知悉しているフランスの政治家の歴史的な見識には敬服のほかないと云わざるを得ない。