仮面ライダーフォーゼ第三十八話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第三十八話「勝・者・決・定」。
夜道を走っていただけの如月弦太朗(福士蒼汰)を獅子ゾディアーツ=立神吼(横山一敏)は突然襲撃した。襲撃した理由は、如月弦太朗が天ノ川学園高等学校理事長の我望光明(鶴見辰吾)に親しく話しかけて、交渉して、話が通るや、握手して「流石、大物だぜ!」と感激して走り去ったのを見送った我望光明が「君の方がよっぽど大物だよ」と感想を述べたのを傍で聞いたから。立神吼は如月弦太朗のこの行動を「無礼」と形容したが、要するに如月弦太朗に対して嫉妬したのだろう。
我望光明は如月弦太朗を高く評価していることが判明したが、もちろん、我望光明は側近に従えている立神吼をも高く評価しているに相違ない。しかし立神吼は我望光明に親しく話しかけることはできないが、如月弦太朗は臆することなく親しく話しかけた。もし立神吼が我望光明に親しく話しかけて握手したなら我望光明からどのような反応を被るかは定かではないが、如月弦太朗のそうした行為に対して我望光明はどこまでも好意で反応した。自身の学校の生徒であるからそのような態度を取ったと説明できなくもないが、いかんせん我望光明も立神吼も如月弦太朗こそがフォーゼの正体であることを既に知っているのだ。
我望光明の敵でありながら我望光明から高く評価され、あろうことか好意を寄せられてさえもいる如月弦太朗。我望光明の側近に仕える集団の幹部ではあっても親しく話しかけることさえもできない立場にある立神吼が、この「無礼」な少年に対して嫉妬しないわけがない。…という形で理解することができるだろう。
斯かる嫉妬の場面に一体どのような意味があるのか現時点では判らないが、今後の物語におけるその余波の有無に注意しておこう。
もう一つ、今朝の話で何とも奇妙だったことは、改心が不条理をも生じたこと。
水瓶座ゾディアーツ=エリーヌ須田(滝沢カレン)は、如月弦太朗との約束を守るために戦うことを決意し行動しているメテオ=朔田流星(吉沢亮)の姿に心動かされて、心を改めたが、結果、城島ユウキ(清水富美加)を許し、救出し、和解することができた反面、大切な「ホロスコープス」との約束を守らなければならないと気付いて、そのためには信頼し敬愛するフォーゼ=如月弦太朗を改めて敵に回さなければならないと決意したのだ。正々堂々の「タイマン」であり決闘ではあったが、何のために何をやっているのかも解っていないような不条理の話だった。まるで他国による自国への侵略を手助けするために珍妙な言論を連発する大新聞社の不条理を多少は理解しながらも社是に従うしかないと考えている社員の想いを表現しているかのようだ。