サムライ・ハイスクール第二話

日本テレビ系。土曜ドラマサムライ・ハイスクール」。第二話。
脚本:井上由美子。音楽:菅野祐悟。チーフプロデューサー:櫨山裕子。プロデューサー:荻野哲弘&内山雅博。企画協力&プロデューサー:山口雅俊。制作協力:オフィスクレッシェンド。演出:猪股隆一
国学院高等学校の運動会における騎馬戦は、戦国安土桃山時代真田幸村=真田信繁の側近に仕えた若い侍の一人と(劇中の東雲歴史文庫蔵の江戸時代の古書「大坂城陣中秘録」において)伝えられる望月小太郎の後裔にしてその侍に憑依されたる云わばサムライ高校生の、しかも先祖と同じ名を持つ望月小太郎(三浦春馬)の軍略、奇襲と一騎打によって、騎馬戦を超えた合戦の様相を呈した。
数学の世界杯大会に出場する黒田礼二(若葉竜也)の普段の様子を撮影するためにそこへ来ていた放送会社の取材班一行が当の黒田よりも黒田を一騎打で破った小太郎の勇姿の方に夢中になってしまったのは無理もない。なぜなら眼前で繰り広げられたのは騎馬戦を超えた騎馬戦であり、激戦を制した謎の少年は高校生を超えた高校生と見えたのだからだ。
とはいえ、この合戦における一番の大勝負は主戦場としての運動場から外れた場所で繰り広げられたから、その一部始終を見届けることができたのはそこでの戦に加わった直接の当事者以外では視聴者のみだったろう。なぜならそれは校舎裏の狭間の奇襲という局地戦に他ならないからだ。敵の大軍勢をそこへ誘き寄せた小太郎隊は、兵を欠いた騎馬のみの姿で姿を表し、敵勢の皆を少々驚かせ油断させた上で、騎馬の陰に隠れていた小太郎の姿を不意に現してさらに驚かせた。驚く表情が見ものだった。こうして不意を突く形で現れた小太郎は騎馬から飛び上がって相手方の騎馬に乗り込んで直に攻撃を仕掛け、討ち取ったのち再び飛び上がって自身の騎馬に戻り、今や総崩れとなった敵勢を次々に撃破した。戦国時代というよりは平安時代源義経鎌倉時代の大楠公=楠木正成を連想させる戦い方だったが、実に鮮やかで痛快だった。
敵将の黒田をも討ち取って合戦を制した小太郎隊を圧倒すべく、「奸物」の総大将と云うべき千国学院長の亀井恭子(室井滋)配下の城所和夫(金田明夫)が放ったマイムマイム軍による大包囲の凄まじさも含めて、実に力強い合戦の描写だった。その迫力はNHK大河ドラマ「葵-徳川三代」の関ヶ原合戦にも比肩し得よう。
他方、TBS系の土曜ドラマ小公女セイラ」における林遣都は、今宵も質素な白いシャツの似合う清潔感を見せていた。