サムライ・ハイスクール第五話

日本テレビ系。土曜ドラマサムライ・ハイスクール」。第五話。
脚本:井上由美子。音楽:菅野祐悟。チーフプロデューサー:櫨山裕子。プロデューサー:荻野哲弘&内山雅博。企画協力&プロデューサー:山口雅俊。制作協力:オフィスクレッシェンド。演出:狩山俊輔。
サムライ高校生の望月小太郎(三浦春馬)の偽者が現れた。正体は小太郎と同じく千国学院高等学校の生徒であり、サッカー選手としての活躍と将来性を買われて同校から特別待遇を受けている岩永(賀来賢人)。中村剛(城田優)の偽者も同じくサッカー部員の大越(鈴之助)。
岩永は国会議員をしている父親の力を借りれば大概のことは意のままになると思い込んでいるようで、そして実際、彼の父親はその期待に応えようとしたようだが、父子ともに愚かなことだ。政権交代の起こり得る今時、与党の閣僚や幹事長や前与党の大物族議員でもない限り、無茶な権力を振るうことはできないのではないだろうか。ことに、不正を犯したわけでもない交番の巡査を解雇することなんか、それこそ(金曜日の「アンタッチャブル」ではないが)闇組織の力でも借りない限り、できるはずもない。
そうした点から考えて、金と力と名声に弱いはずの千国学院高等学校長の亀井恭子(室井滋)が今回ばかりは岩永代議士の秘書の森村肇(市川勇)に門前払いを食らわしたのは、教育者としての正義感もなかったわけではないにせよ、あくまでも、当人が「いざというとき政治家は守ってくれない」と云っていた通りの合理的な判断によるものと見てよいだろう。
もっとも、それに比するなら、警視庁晴海警察署生活安全課の鳴滝刑事(奥田達士)は腰抜けだ。何の後ろ盾もない小太郎と中村に対しては、まるで世界の破壊者を眼前にしているかのような陰湿な言を浴びせていたのに、国会議員の子の岩永に対しては、まるで盗人を英雄扱いするが如く、何の咎めもしなかったらしいからだ。鳴滝風に「おのれ!奸物!」と云っておこう。
岩永代議士の秘書のあの森村が警察署長や生活安全課長に依頼して、無罪放免にしてもらったのだろう。だが、岩永という頭も悪く正義感の欠片もない代議士がどれ位の大物議員であるのか知らないが、警察署に対する命令権が一国会議員にあるはずもなく、校長に頭を下げに来たように、警察署にも頭を下げて泣き付いて何とかしてもらったというのが真相だろう。権力者の実態は意外に恥ずかしいものなのだ。