仮面ライダー剣・超全集

「てれびくんデラックス愛蔵版 仮面ライダーブレイド超全集」が届いた。新知見は必ずしも多くはないようだが、やはり「全集」というものには独特な面白さがある。見ていて楽しい。満載の画像が一年間の物語の各話を想起させる。中で最終話(第四十九話)には二頁が割かれているが、その最終場面の写真が泣かせる。花束を持って落葉の道を歩く相川始(森本亮治)の前に失踪中の剣崎一真(椿隆之)の幻が現れて、始に微笑した場面(pp.80,96)。
森本亮治仮面ライダーカリス=相川始の役のほかタコヤキ屋台の三上了やヒューマンアンデッドの役まで一人で演じたから、それぞれの姿がこの「超全集」にも収録されている。ヒューマンアンデッド役ではヌードというか上半身裸で登場したので、その画像は無論これに収録されているが(p.29)、相川始の上半身ヌード画像も収録されている(p.22)。三上了の手製ヒーロー「タイヤキ名人アルティメットフォーム」の画像の横には、三上了の顔面にタコが命中した瞬間の写真も載り、かなり楽しい(p.56)。
驚いたことに本書には不思議な小説が載っている(pp.94-95)。あの相川始を愛した少女、栗原天音の晩年を描いた小説「たそがれ」。仮面ライダーに夢中の孫がいるところから判断するに天音は六十歳位に達したのか。六十歳と仮定すれば同年に橘朔也は七十五歳、上城睦月は六十七歳、白井虎太郎は七十三歳、広瀬栞は七十歳だが、何と!この小説では睦月も虎太郎も広瀬も既に亡くなったあとなのだ。剣崎一真は異国の戦地で子供たちを救出するため尽力しているようで、そして相川始は、昔のままの若く美しい姿で、老境の天音を見舞いに来た。この世を去り行こうとする天音のために相川始を呼び寄せたのは橘朔也だった。初恋の人「始さん」の、昔と一つも変わらない姿を見て、天音は幸福に包まれながら逝去したようだ。なお、この小説には挿絵があり、石森プロ飯田浩司が手がけたものだが、いかにも石ノ森章太郎風の画風で相川始の姿を描いているのが嬉しい。

仮面ライダーブレイド超全集 (てれびくんデラックス愛蔵版)
出版社/メーカー: 小学館
発売日: 2005/03
メディア: ムック