仮面ライダーカブト第十三話

テレビ朝日系“スーパーヒーロータイム”ドラマ「仮面ライダーカブト」。水嶋ヒロ佐藤祐基主演。第十三話。
前回の最後に勃発した仮面ライダーカブト天道総司水嶋ヒロ)と仮面ライダードレイク風間大介加藤和樹)との間の闘い。この「ライダーバトル」を止めたのは風間大介の助手役をつとめる少女ゴン(神崎愛瑠)だった。しかし厳密には必ずしも止めたのではなかった。むしろ天道を激励したのだ。ゴンは、天道に対する風間大介の敵意が天道の強さ、正しさ、カッコよさに対する嫉妬に過ぎないことを見抜いた上で、そんな風間大介の弱さを天道に懲らしめて欲しいと求めたのだ。天道は、風間大介の助手役をつとめる少女ゴンが実のところはむしろ優れた保護者であることを瞬時に解した。天道と対等に語り合える少女ゴン。只者ではない。だが、そんな只者ではない「よい保護者」を一人の少女において見出した風間大介も只者ではないと云えるかもしれない。只者ではない三人が和やかにも火花を散らし合っていた場で一人オロオロしていた加賀美新佐藤祐基)。なかなか濃厚な数分間。
他方、そのあとに来たドラマには人生の非情と悲哀が満ちていた。ZECT本部直轄の精鋭部隊シャドウ内部の権力闘争において、影山瞬内山眞人)は冷酷なまでに現実主義的だった。思えば既に第十話において彼は冷徹な本性を顕にしていたのだ。武官としての栄達を図る彼には、上司や同僚や部下に対する情はない。かつて彼が部隊長の矢車想徳山秀典)によく従ったのは、矢車という人物に忠誠を誓ったからではなく、士官候補者として職務に忠実だったからに過ぎない。だから仮面ライダーザビー変身の資格を喪失して部隊長から転落した矢車を影山は直ぐに見限ることができたのだった。もはや部隊長でも何でもなくなった矢車に対して改めて忠誠を誓うような眠たいことを本気で今さらやるわけがなかった。そう考えるとき、矢車が努力と才能と人徳だけで真摯に生きてきた純粋な青年だったことを知る。出世競争に欠かせない権謀術数の類は彼の人生にはなかったのだ。