アグネス体操とラデツキー行進曲

現在放送中の日本テレビ土曜ドラママイ★ボス マイ★ヒーロー」における傑作なネタの一つとして「アグネス体操」というのがある。榊真喜男(長瀬智也)の通学するセント・アグネス学園で行われている奇妙な体操で、生徒たちが嫌がりながらも意外に上手いこと踊る中で榊真喜男だけがどうしてもリズムを外してしまったり、それを誤魔化すため大声で「アグネス!」と合いの手を入れたりしている様が面白いのだが、しかし思うに、あの面白さを最高度に盛り上げる要素として選曲の妙ということもあるのではないだろうか。アグネス体操に使用される楽曲は、音楽の都ウィーンの巨匠ヨハン・シュトラウス一世(父)の名曲中の名曲「ラデツキー行進曲」をピアノで演奏したもの。ピアノで軽快に奏でられるあの勇壮な行進曲に合わせて、まるで飛び跳ねるように踊られるアグネス体操それ自体も笑える。
ヨハン・シュトラウス一世(父)作曲「ラデツキー行進曲」は、毎年元旦に行われる世界一有名な音楽の祭典「ウィーンフィルニューイヤーコンサート」のアンコール曲として全プログラムの最後に必ず演奏されることでも知られる。その際、客席の聴衆が皆リズムに合わせて盛大に手拍子を打つのも恒例化しているが、二十一世紀最初の「ニューイヤーコンサート」ではウィーン楽壇の長老ニコラウス・アルノンクールが客席に向かって指揮を執り、聴衆の手拍子にも強弱を表現させて音楽の一部として取り入れたのが記憶に新しい。今そのときの様子をDVDで改めて鑑賞しているのだが、聴いていると何だか曲の合間に「アグネス!」の掛け声を入れたくなってしまう。