新番組=玉木宏主演ラヴシャッフル第一話

今宵からの新番組。
TBS系。金曜ドラマ「ラヴシャッフル」。第一話。
脚本:野島伸司。主題歌:アース・ウィンド・アンド・ファイアー「Fantasy」。挿入歌:バングルス「ETERNAL FRAME」。音楽:神坂享輔&MAYUKO&井筒昭雄。プロデューサー:伊藤一尋。制作:TBSテレビ。演出:土井裕泰
単に私的な好みの問題として、一年前のテレヴィドラマ「鹿男あをによし」における小川先生のような、奇妙な事態に巻き込まれて困惑しながら、無理矢理それに付いてゆこうとする凡庸な男を演じる玉木宏の、焦って慌てて挙動不審な状態に陥っているような演技を見るのが好きなので、その意味では大いに楽しめそうなドラマ。
脚本家が視聴者を笑わせようとして書き込んでいるに相違ない矢継ぎ早の台詞の数々が悉く笑えないことについては取り敢えず耐えるべし。
宇佐美啓(玉木宏)二十九歳は、大手IT企業のIT事業部マーケティング課長で都内の高級な超高層マンションの最上階に居住していて、世間はそうした境遇を「セレブ」と形容するが、実は、彼がこのような地位や住居を得ているのは、偶々交際していた相手の香川芽衣貫地谷しほり)がその会社の社長の令娘だったからこそのこと。
彼は、上司や彼自身の言によれば二流大学も卒業できなかった無能の男で、本来なら一流企業になんか就職できるはずもなかった。恋人の父親が娘の婚約者に「箔を付ける」ため、仕方なく自身の経営する会社にコネ入社をさせた上、役職まで与えた結果として、今の分不相応に恵まれた境遇にある。結婚が成った暁には部長にまで昇格する予定もある。高級マンションの最上階にある豪華な住居も、恋人の父親から与えられたもの。何から何まで全てを恋愛のみによって獲得した男だったわけで、ゆえに恋を失い結婚に失敗すれば全てを失うしかないわけでもある。
彼の現在の社会的な地位を、田舎にいる彼の母親は喜んでいるらしい。当然だろう。でも彼自身はどうなのだろうか。職場で彼は広々とした課長席に座しているが、大勢の部下たちが凄まじい速度でパソコンを操作しているとき、彼一人はパソコンの使い方にも迷い、初心者用エクセル入門書を密かに(部下に知られないように)覗き見ざるを得ない始末。仕事に全く付いて行けていない状態で、内心、毎日の勤務が辛いのではないだろうか。どのような職に就けば彼が幸福になり得るのか判らないが、「キラキラした」姿に戻るための道が「各々其の所を得る」以外にはないだろうことは明白だ。
ところで、高級マンションにある豪華なプールに着衣のまま飛び込んだ彼は、途中一度シンクロみたいなこともしていた。彼は元「ウォーターボーイズ」の一員であるから男子シンクロは得意なのだ。濡れたワイシャツの浮かび上がらせた上半身は堂々としていて、それが水着姿の世良旺次郎(松田翔太)の貧弱な体型を際立たせてしまった。痩せている割には腰が細く絞られてはいなくて締りのない体型に見えたのが残念。大石諭吉(DAIGO)は大富豪でありながら腰が低いところがDAIGOに近いのかもしれない。