アンタッチャブル第三話

テレビ朝日系。ドラマ「アンタッチャブル事件記者・鳴海遼子」。
脚本:橋本裕志。音楽:井筒昭雄。制作協力:5年D組。制作:ABC朝日放送テレビ朝日。演出:唐木希浩。第三話。
美容整形医の桂木ミチル(高橋ひとみ)に対する最初の取材を敢行したとき、早くも拒絶された三流週刊誌「アンタッチャブル」記者の鳴海遼子(仲間由紀恵)は「なぜ避けるんですか?」と喰らい付いた。この「さける」という語はスリット美香子の「さけて!」を連想させた。
鳴海遼子の兄の、警視庁公安部刑事の鳴海洸至(小澤征悦)が「名無しの権兵衛」の側に結び付いている可能性は第一話の段階で見えていたが、一段と濃厚になってきた。
意外に思われたのは、一流週刊誌「国民ジャーナル」記者の遠山史朗(要潤)が陰謀家だったこと。彼は「アンタッチャブル」編集部における鳴海遼子のライヴァルとも云うべき巻瀬美鈴(芦名星)に「名無しの権兵衛」に関する重要な情報を流し、鳴海遼子の取材の成果を盗ませた上で、事件の背後にある闇の組織に関する過激な記事を書かせたが、そのことは巻瀬美鈴を闇の恐怖に陥れた。彼は自身の安全を確保しつつ「名無しの権兵衛」に対しては攻撃を仕掛けるため、巻瀬美鈴を利用したのだろう。案外、鳴海遼子を「国民ジャーナル」編集部から追い出したのも、鳴海遼子をそのように利用するための彼の陰謀だったのではないだろうか。彼が「名無しの権兵衛」に敵対するのはどのような意味においてであるのだろうか。
鳴海遼子と同僚カメラマン鷹藤俊一(佐藤智仁)の二人が次第に絶妙なコンビになりつつあるのは、彼が歩み寄ってきたからだろう。ジャーナリストとしての志のなさを鳴海遼子から非難された彼は、己にもジャーナリストの魂があり行動力も技量もあるところを鳴海遼子に対して証明してみせた。
しかし彼の「俺も一寸は頑張るからさ」という彼の爽やかな言に「珍しく優しいこと云うのね。でも無駄な期待はしないでよ。」「見え見えよ。もう直ぐ私の誕生日だからって、食事にでも誘って、あわよくば…って魂胆でしょ?」と云い返して鳴海遼子が睨み付けたのは相変わらずの展開。もはや期待通りと云うも過言ではない。