仮面ライダーウィザード第二十四話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第二十四話「魔法使いの祖母」。
ビーストに変身する仁藤攻介(永瀬匡)は、福井の富裕な家で厳しい祖母に躾けられて育ったと判明した。彼が考古学を志して東京の大学へ進学することを決意したとき、祖母の仁藤敏江(山口果林)は大いに反対したが、その説教の場は立派な日本家屋の広々とした座敷で、明かり障子の外に見える庭には雪が積もっていた。いかにも越前の旧家らしい様子であると思われた。
祖母は何時でも孫を心配しているが、孫もまた祖母を心配しないはずがない。あろうことか、祖母はゲートだった。しかもメドゥーサ(中山絵梨奈)の標的に選ばれた。ここにおいて仁藤攻介と祖母との関係に目を着けたのはソラ(前山剛久)だった。メドゥーサからの信任を得たいソラは、己の力量を認めさせるため、ゲートとビーストを一網打尽にする奇策を思い付いたと見受ける。
メドゥーサはもともとソラを信用していなかったように見えるが、不信感をさらに増大させた原因は、フェニックス(篤海)を永遠の破滅へ導いた事件の裏にはソラの暗躍がありはしなかったか?との疑惑にあった。メドゥーサは何時もフェニックスをからかっていたが、本当は意外にもフェニックスを大切な味方として認めていたようだ。
ファントム陣営が卑劣であるのと対比をなすように、魔法使い陣営は今まで以上に颯爽とした姿を見せるようになっている。特に面白かった場面としては、暴走するバスの中の戦闘を挙げたい。仁藤攻介や仁藤敏江を含めて数人が乗車していたバスが、運転手になり済ましたファントムの運転で異常な暴走を続けていた中、ファントムの差し向けられた子分衆が狭い車内で暴れて乗客に襲い掛かったとき、これを退治すべく仁藤攻介は、祖母の眼前、ビーストに変身して戦った。
それまでは、自身が魔法使いになったことで祖母に心配をかけることになるのを恐れる余り、必要あって変身するときにも一旦は逃げて姿をくらまし、影で変身して、変身後も敢えて「魔法少女ビースト」を自称して、くれぐれも正体を悟られないように心がけていた仁藤攻介が、たとえ真相を知られることになろうとも今ここでは戦わなければならない!と決意したところが見所ではあるが、同時に、激しく暴走する狭い車内で他の乗客を庇いながら大勢の敵を相手に奮闘する姿が派手で力強かった。
興味深い事実が明らかになった。ウィザード=操真晴人(白石隼也)はビーストの指輪を用いて新たな魔力を発揮できるのに対し、ビースト=仁藤攻介はウィザードの指輪を使用することができないという事実。これはビーストが「古の魔法使い」であることに起因するのだろう。新しいパソコンが古いデータを開き得るのに対して古いパソコンが新しいデータを開き得ないのと同じであると解することができる。