仮面ライダー電王第二十話

テレビ朝日系。「仮面ライダー電王」。主演:佐藤健。脚本:小林靖子。監督:舞原賢三。第二十話「最初に言っておく」。
時空を超える電車デンライナーのオーナー(石丸謙二郎)は、同じく時空を超える汽車、牛の形のゼロライナーに乗る桜井侑斗(中村優一)に対し、どうしてゼロライナーに乗っているのかを問いながら述べた。「ゼロライナーは或る消えた時間とともに消滅した」と。それに応じて侑斗は述べた。「オレは列車を預っただけ。或る目的のために」と。この重要な言明に加えて、「時の運行を守る」者の役目について野上良太郎佐藤健)が未だ知らないことを侑斗が把握していると思しいこと、そして仮面ライダー電王という役の特権性と、それを任された良太郎の特異性に激しく嫉妬していることを踏まえるなら、仮面ライダーゼロノスに変身して「時の運行を守る」ことを彼が使命として引き受けていること、そしてその仕事に生真面目なまでに取り組んで責任を全うしようとしていることが明白だ。云わば彼は、厄介な仕事を任されて責任の重さに苦しみながらも一人で必死に耐えようとしているのだ。さらに云えば、ゼロライナーも仮面ライダーゼロノスも、デンライナー仮面ライダー電王に比べて明らかに旧式であり、変身一つにも一々面倒な手順を経なければならないこと、しかも変身に使用するカード(切符?)は変身する毎に消費される上に枚数にも限度があるらしいことをも考えるなら、侑斗の「最初に言っておくが、オレは、かなり強い!」という強気な口上に反して実際には、決して充分とは云えない乏しい武器を最大限に使いこなすことによって辛うじて強そうに闘えているだけなのではないかとも想像される。実に健気ではないか。侑斗に憑依している保護者のようなイマジン、デネブ(声:大塚芳忠)が侑斗にどこまでも優しいのはそうした一部始終を見ているからだろう。
オーナーが侑斗について述べた言を聴いてハナ(白鳥百合子)は何かを感じ取り、或いは悟ったようだったが、そのことについて良太郎には今のところ何も説明してはいない。良太郎は本当に何も知らされてはいない。