学校じゃ教えられない!第四話

日本テレビ系。火曜ドラマ「学校じゃ教えられない!」。
脚本:遊川和彦。音楽:福島祐子&高見優。プロデューサー:大平太&桑原丈弥&井上竜太(ホリプロ)&太田雅晴(5年D組)。制作協力:ホリプロ5年D組。演出:石尾純。四限目。
水木一樹(中村蒼)と見城瞳(朝倉あき)の二人は一見とても似合いのカップル。一樹の幼馴染みの大親友、西川叶夢(森崎ウィン)の眼にもそう見えている。でも実際には、カップル成立ということには到底なりそうもない。なぜなら一樹の好きな人は叶夢に他ならないから。瞳もそのことを知っている。しかし叶夢はそうとは気付かない。だから叶夢には、一樹と瞳の関係が不思議でならない。よい感じなのに、よい感じではないなんて不可解ではないか。大親友「カズ」こと一樹には、実は何時の間にか別に好きな人ができたのではないか?と彼が睨んだのは先週の第三話でのこと。確かに真相はその通りではあるのだ。しかしカズはそれには肯けなかった。当然だろう。そこで今回、叶夢は考えた。実は「異性が好きになれない体なんだろう?」と。実に鋭い。狼狽するカズを見て叶夢は得意気に、楽しそうに云い放った。「前から怪しいと思ってたんだよね」と。さらに慌てるカズ。内心「嘘?知ってたのかよ、俺の気持ち…」と呟きながら、ついに覚悟を決めたような表情をした。しかし叶夢は続けた。「実は…女の子が好きなんだろ?瞳ちゃん」。「そんなわけないだろ!」と否定しながらカズは内心「なんだ…そっちかよ」と安堵していたが、反面、もし叶夢が本当に真相に「前から」気付いていたとすれば、カズにも両想いの可能性が開かれたのではないのか?と思わなくもない。とはいえ叶夢という男子の魅力は、何時も頼りになる大親友のカズが実は自分のことを愛しているのかもしれない…等とは全く思いも及ばないところにこそあるのだと云えるのかもしれない。水木一樹は、無類の女好きの男子である叶夢を愛してはいるが、男子好きな男子を好きになる男子ではないのだ。少なくとも今のところは。難しい道を歩もうとしているのだ。
生徒会長の真行寺夏芽(三浦葵)は、長崎きよし(柳沢太介)と吉澤可奈(柳生みゆ)を「変態カップル」、成田静也(前田公輝)と鈴村レイ(加藤みづき)を「妊娠カップル」、稲井信太郎(法月康平)と亀田真帆(夏目鈴)を「殺人カップル」と形容し、これらを「問題」と断罪して「恥ずかしくないの?」と非難した。それなのにこの生徒会長の真行寺、どういうわけか瞳に付き纏い、「SDK」=進路大学研究会(無論その正体は社交ダンス倶楽部)にまで参加したいと表明した。カズと叶夢と瞳の奇妙な三角関係に、大きな波乱がありそうだ。
今回の話には、家庭内暴力、運動部における教員の生徒へのパワーハラスメント、そしてそれらに起因する少年たちの攻撃的な衝動や死への願望が描かれていて重い暗さがあったが、そんな話の中にも軽やかな明るさをもたらし得るのは叶夢と横山永璃(仲里依紗)の名コンビ。何時もカズを振り回す両名の存在が、このドラマを盛り上げる。相田舞(深田恭子)と彼等の明るさがこの思いのほか重いドラマを軽やかに楽しく見せてくれている。私的な好みで云えば現時点において今期一番楽しめるドラマであると思う。