新番組=松本潤&徳山秀典出演スマイル第一話

今宵からの新番組。
TBS系。金曜ドラマ「スマイル」。第一話。
脚本:宅間孝行。音楽:山下康介。プロデューサー:瀬戸口克陽&障汾ャ麻畝子。演出:石井康晴
早川ビト役の松本潤と、河井金太役の徳山秀典とが恐らくは「ぼくらの勇気 未満都市」以来の約十二年振りに共演するという点でも極めて注目に値するこのドラマ。その第一話を見終えたが、どうだったろうか。
第一話を興味深く見終えたが、何と憂鬱な始まりだろうか!と思わずにはいない。「悲劇的」と形容することもできなくはないが、それとは少々異なる重苦しさがある。
これを見て憂鬱な気分になった原因には少なくとも二つある。一つは無論、主人公の早川ビトに襲い掛かる事態が余りにも不条理な悪意に満ちていることだが、もう一つは、その悪意が全てフィリピン人に対する日本人の差別に因るものとして描かれたことだ。彼には何か「前科」もあるようで、現在「執行猶予」の身でもあることは既に劇中に描かれたが、そのゆえに差別を受けているというわけでもなさそうだ。なぜなら彼は普通に夜の街を歩いているだけで警察に疑われ、パスポートの提示を求められる程だからだ。しかも、かくも不条理な差別主義の過激な実践者として劇中に登場するのは暴力団と警察なのだ。
これを見ていると、まるで日本では警察と闇社会とが、権力と暴力とが同一であるかのように思えてしまうし、国際社会において一般にアジア人の一員とされている日本人が他のアジア人に対して凄まじく差別的であるかのように思えてしまう。そうした誤解を、外国人のみならず日本人自身にさえ与えかねないと危惧する。見終えて憂鬱な気分にならざるを得なかった最大の原因はそこにある。ここまで自虐的に自国を描く必要はなかろう。このドラマがインターネット上の動画サイトに不正に掲載されて全世界に配信された場合の影響を少しは考えるべし。