新番組=NHKとめはね第一話

今宵からの新番組。
NHKドラマ8とめはねっ!鈴里高校書道部」。第一話。
場面が転換する際の映像の処理は、人気マンガを原作とするこのドラマが通常の大人向けドラマとは少々別のものとして造られているということを端的に表現している。これは視聴者に対して、このドラマを一体どのような姿勢で見ればよいのかを明快に解くものに他ならない。こういうことは意外に大事だと思う。最近の民間放送のドラマでは色々な人々を幅広く取り込もうとして逆に誰が見ても楽しめないものになったような事例が多い気がする。
さて、所謂「書道甲子園」をはじめとする高等学校書道の隆盛に影響を及ぼしたと評されて新聞等でも話題になった人気マンガを実写化したドラマだが、当の原作を読んでいない者としてはドラマの出来栄えを迂闊に判断できない。でも、面白かったとは思う。難点は、冒頭の主題歌が煩かったことと、某筆文字デザイナー考案の「リレー書道」の如き怪しげなものがドラマの要をなしていたこと位か。
出演者も皆よかったと思う。特に魅力的だったのが大江縁(ゆかり)役の池松壮亮だったのは云うまでもない。NHK大河ドラマ源義経」における源頼朝や同「風林火山」における武田信玄の男らしい凛々しさとは正反対の、頼りなさそうな感じが実によかった。
他方、中村倫也は大江縁のライヴァルになりそうな鵠沼学園書道部員の勅使河原亮を演じた。いきなり唐の欧陽詢の傑作「九成宮醴泉銘」を全臨してしまえる実力派で少し嫌味な奴なのか?と思わせておいて、意外に普通な良い人だったと云うか、鈴里高校書道部との「リレー書道」の対決で、圧勝できるはずだったのが惜しくも引き分けに終わったとき、敵の善戦、ことに大江縁の見事な挽回に素直に感心していた様子だった。
ところで。勅使河原亮は九成宮醴泉銘を全臨し、中村倫也の兄貴分は成宮寛貴だが、中村倫也の同僚で、同時期に芸名の改号をした佐藤智仁は最近どうしているのだろうか。
なお、ドラマの劈頭に出てきた「青春アミーゴ」の歌詞は、修二と彰で、習字を連想させたかったのだろう。