仮面ライダーW(ダブル)第二十四話

東映仮面ライダーW(ダブル)」。
第二十四話「唇にLを/嘘つきはおまえだ」。
脚本:三条陸。監督:田崎竜太
乗り物の恰好になった仮面ライダーアクセルの背に仮面ライダーWが乗るというのは、仮面ライダーアクセルが初めて登場してあの乗り物の形に変形したのを見た瞬間から、視聴者の誰もが待望していたことだったろう。それが実現するにあたっての難関は、左翔太郎(桐山漣)の甘さを常々馬鹿にしている照井竜(木ノ本嶺浩)がそのような屈辱的な姿になることを許すとは思えない点にあったが、今回はその難関を軽く突破するに足る事情があった。風都にある超高層建築の屋上での戦闘の中、嘘ドーパントからの攻撃を受けて仮面ライダーWが墜落しつつあったとき、仮面ライダーアクセルが自ら乗り物と化して救出したのだ。余りにも自然な展開だった。
もっとも、こんなにも好都合な状況が毎回あるとは思えないので、今後も仮面ライダーアクセルが同じように自ら進んで仮面ライダーWのための乗り物になるかどうかは定かではない。今後についても待望しながら見守ろう。
翔太郎が「ジミー中田」こと中田次郎(冨田佳輔)を追いかける夕暮れ時の浜辺の場面について触れなければならない。夕陽の逆光に浮かび上がる二人の影は、空を舞う白い鳥の群によって爽やかに荘厳され、余りにもロマンティクに描かれた。何の意味もない美しさがあって、実に面白かった。
翔太郎は今回、「電波塔の道化師」を称する道化師にも扮した。あの、道化師というよりは物凄くアホな人みたいな扮装が、「電波塔の道化師」を称する嘘ドーパント=路上詩人(モロ師岡)を愚弄するための手段であるのは明白だ。普段の翔太郎の「ハードボイルド」路線とは正反対の姿だったが、あんな扮装をしてあんな変な動作をする芝居においても妥協することのない真剣な姿勢には、彼の本質が貫かれていたと見ることができよう。ハードボイルド道化師と称して可だろうか。
照井竜はフィリップ(菅田将暉)の女装を見たかったのだろうか。かつて「炎神戦隊ゴーオンジャー」のゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)がゴーオングリーン城範人(碓井将大)の女装を無類に愛好したように。
それにしても、「ダブリュウのメモリの持ち主」こと井坂深紅郎(檀臣幸)の変態性欲の場面は、大人が一人で見る分には大したことはないが、子どもと一緒に家族で視聴している人々にとっては何とも反応に窮する気まずい一時ではなかったろうかと推察する。かなり迫真の演技だったと思う。