佐藤勝利出演ハングリー!第六話

関西テレビ放送ホリプロ制作ドラマ「ハングリー!」。第六話。
山手英介(向井理)の仏蘭西料理店にとって頼り甲斐ある野菜の仕入れ先である大楠農園の主、大楠義明(橋本じゅん)の邸内における或る夜。農園主の長女の大楠千絵(瀧本美織)が山手英介から教わった玉子焼の作り方を試していたものの、なかなか上手くは行かず殆ど事故のようになりかけていたところへ、農園主の大楠義明と、その長男であり大楠千絵の弟でもある大楠佐助(佐藤勝利)が、一体何事が発生したのかと驚いて台所へ駆け付けてきた。しかるに見れば、とても玉子焼には見えないボロボロの玉子焼を載せた皿が何枚も卓上に並んでいた。
大楠佐助はそれをみて「何これ?」と疑問を呈した。
その後も調理を続けようとして危うく火傷しかけた大楠千絵の様子を見て、大楠義明は「佐助!」と呼びかけ、当の大楠佐助は「うん!」と返事をして、凛々しく真剣な顔をしていた。父の意図は薬箱を持ってこい!ということにあったようだが、長男にはその意が全く伝わっていなかったのだ。そこで改めて薬箱を持ってくるように云われた大楠佐助は「あ、子供部屋だ」と云って、軽く笑顔を見せながら取りに行ったが、父は本当に薬箱を取ってくるのかどうか不安になったようで後を追いかけた。
以上は十時八分頃の場面。次いで十時十九分頃。
山手英介の料理店の昼。夜からの開店へ向けて準備と打合せの行われていた厨房へ、大楠佐助が平塚拓(三浦翔平)と一緒に野菜を積んだ箱を抱えて入ってきた。「こんにちは」と挨拶したあと「あ、姉ちゃん、いた」と続けたのは、そこで働き始めていた姉が既にそこにいたのを見付けたから。山手英介から野菜を置く場所について指示を受けて「はい」と応じたあと、唐突に「ねえ、どうして、英介さんはロック止めてシェフになったの?」と訊ねたのは、「だって、ロッカーの方が女子にモテそうじゃん」と思ったから。その後は山手英介の真剣な説明を黙って真剣に直立不動で聴いて、やがて下拵えの作業が始まるや、食材の野菜を箱から取り出す手伝いをしていた。
その夜。山手英介は麻生時男(稲垣吾郎)との賭けに負けて、店の名を「ハラペコ食堂」へ改名しなければならなくなった。彼は悔しがったが、常連客は全く気にする様子もなく、店の評判も変わりなかった。そうした中で彼は亡き母の残したレシピ本を取り戻し得て、俄然やる気を取り戻した。これまでの料理の味を向上させることができるだけではなく、新しい料理を試みることもできるのだ。早速、新しい料理を試作すべく新しい食材を求めて、大楠農園へ足を運んだ。
それが今宵十時四十四分頃の場面。
農園の昼、農園主の大楠義明と長男の大楠佐助は腰かけて休憩していた。姉は沢山のオニギリや玉子焼や唐揚や肉団子や煮物を卓上に並べて父と弟に声をかけ、それで振り返った弟は「あ、英介さん!」と声を上げた。農園に山手英介が来たのだ。山手英介は新たな料理を試みるために求めている新たな食材として、珍しい野菜の名を四つ列挙したが、大楠佐助は「レッドキャベツと、マイクロトマトはあるけど、アイスプラントとスプラートは…」と即答した。彼はそうした珍しい野菜の名をよく知っていて、大楠農園にそれらがあるかどうかも全て把握できているのだ。彼の語を遮るようにして父は「作ってみようか?」と応じ、アイスプラントとスプラーとの苗を仕入れるべく父子二人で市場へ向けて駆けた。
折角の昼食を摂る余裕もなく直ぐに市場へ走ったところに、両名の野菜への情熱が窺える。市場へ急行することを決めた父が「佐助!」と声をかけたとき大楠佐助が何の迷いもなく「へい!」と呼応して一緒に駆けたのは、薬箱をめぐる両名の息の合わなさ加減とは好対照をなしている。大楠佐助も農業少年なのだ。